資料4

開発課題名「広光波長帯域・高感度・高信頼性撮像素子の開発」

(平成23年度採択:要素技術タイプ)

チームリーダー :  須川 成利【東北大学 大学院工学研究科 教授】
中核機関 :  東北大学
参画機関 :  (株)島津製作所、ラピスセミコンダクタ宮城(株)
T.開発の概要
 原子レベルで表面が平坦化されたシリコンを用い、波長200〜1,100 nmの広光波長帯域で、非冷却で1光子レベルを検出可能な高い感度と、紫外光照射に対する感度劣化と暗電流増加が抑制された高い信頼性を有する、広光波長帯域・高感度・高信頼性光センサおよび撮像素子を開発する。本開発により、各種分光分析機器の検出部の高精度化・長寿命化、また紫外光を用いた高速撮像への応用が可能となる。
U.中間評価における評価項目
(1)広波長帯域・高感度フォトダイオード技術の確立
 光検出性能については、広光波長帯域(200〜1,000nm)で外部量子効率として平均値78%、最小値59%を、紫外光波長帯域(200〜320nm)で外部量子効率として平均値83%、最小値72%を、それぞれ7個ないし6個のフォトダイオード構成で達成した。(受光面積1mm2
(2)高信頼フォトダイオード技術の確立
 紫外光照射耐性については、製品寿命10 年換算の紫外光(254nm)照射後で感度劣化10%以下、暗電流増加1.5倍以下の性能をそれぞれ達成した。(受光面積1mm2
(3)広光波長帯域・高感度・高信頼性リニアアレイセンサ
 基礎動作確認用の一次試作品(画素ピッチ25μm、画素数1024)の光電変換特性評価完了。
(4)広光波長帯域・高感度・高信頼性二次元撮像素子
基礎動作確認用の一次試作品(画素数1280×960)の撮像評価、光電変換特性評価を完了。
V.評 価
 原子レベルに平坦化されたSi基板上に作製された極薄高濃度フォトダイオードとその上に形成される広帯域・高透過率の積層膜技術によって、紫外光を含む広光波長帯域の高感度・高信頼撮像素子技術を開発するものである。中間評価時点の達成目標項目を全てクリアしており、さらに最終目標項目の一部も前倒しで達成している。参画機関との密接な連携の下で目標を上回る進捗を示しており、開発はきわめて順調に進んでいる。さらなる実用化を目指して、今後も開発を着実に推進すべきである[A]。


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