資料4

開発課題名「超高感度簡易迅速感染症診断システムの開発」

(平成23年度採択:機器開発タイプ【領域非特定型】)

チームリーダー :  伊藤 悦朗【徳島文理大学 香川薬学部 教授】
サブリーダー : 阪井 八郎【(株)テクノアソシエ 開発部 グループ長】
中核機関 :  徳島文理大学
参画機関 :  (株)テクノアソシエ
T.開発の概要
 ここ数年、入院患者やリハビリ患者の院内感染が問題となっている。院内感染を防ぐには院内に細菌やウィルスを持ち込ませないことが重要だが、そのためには患者を含む来院者の感染の有無を短時間で判別することが必要になる。しかし、そのような判別手段は現在は存在しない。そこで、本プログラム「要素技術タイプ」で得られた成果をもとに、現在数時間以上も要している診断を10分以内で行える超高感度簡易測定システムを開発し、感染症の拡大防止を目指す。さらには臨床評価も行い、医療現場などでの実用化も検討する。
U.中間評価における評価項目
(1)試薬の開発
 サイクリング率の高い3α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3α-HSD)を精製し、また、副反応を抑制しうる基質を設計・合成し、高感度化の為のブランク値の抑制(1/5)に成功した。精製したアルカリフォスファターゼにより標識抗体を作成し、ブランク値の抑制等により、ヒトインスリンで、4.3x10-18molをS/N比1.05で測定しうる"チオNADサイクリング系"利用超高感度ELISAを確立し、数値目標を達成した。
(2)機器の開発
 専用測定器は、"駆動部(流路ユニット)、測光部"の設計が完了し、目標を達成した。他特許との関係やコストの面から、"流路設計"は"マイクロ流路"ではなく"ミリ流路"に変更することになったが、超音波振動子により溶液を混合することで抗原抗体反応の時間を1/3に短縮した。また、専用測定器の試作は、"流路ユニット等" 部品の試作がほぼ終了し、目標通りに進捗している。
V.評 価
 本プログラム「要素技術タイプ」で開発した高感度定量(チオNADサイクリング)法を活用した高感度で迅速・簡便なインフルエンザ等の診断装置の開発である。マイクロメートル単位の流路からミリメートル単位の流路へと 一部開発目標の変更があったが、開発は順調に進捗しており、試薬改良・精製率向上によるブランク値の抑制、超音波振動子による溶液混合法の検討等、目標数値を達成する為の工夫を行っている。今後は、社会実装に向けて実試料測定データの集積を早期に推進し、現場のニーズ(測定対象や測定時間等)に沿った改良を加えて実使用に耐える装置を開発し、薬事申請・上市を目指して着実に推進すべきである[A]。


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