資料4

開発課題名「太陽電池モジュール高精度インライン計測評価装置の開発」

(平成23年度採択:機器開発タイプ【アクションプラン対応領域】異相界面における
パワーフロー現象解明のための計測技術)

チームリーダー :  藤原 裕之【岐阜大学 工学部電気電子工学科 教授】
サブリーダー : 杉本 克雄【大日本スクリーン製造(株) 担当課長】
中核機関 :  岐阜大学
参画機関 :  大日本スクリーン製造(株)
T.開発の概要
 薄膜シリコン太陽電池モジュールの高効率化・低コスト化による飛躍的な普及拡大を目的とし、太陽電池構成層の非破壊・高精度評価が可能な分光エリプソメトリー技術を駆使したモジュール製造時のインライン評価技術と、太陽電池モジュールの局所太陽電池特性を直接評価可能な計測評価装置を新たに開発し、大面積モジュールに対する構造評価技術を太陽電池特性評価技術と統合した高精度インライン計測システムの構築を目指す。
U.中間評価における評価項目
(1)オフライン用エリプメトリー解析技術の開発
 a-SiC:H層解析技術については、異なるC組成を持つa-SiC:H層の誘電関数を統一的に表すことのできる物理モデルの構築に初めて成功し、これを結晶Si基板上に形成したa-SiC:H層のエリプソメトリー解析に適用し、中間目標を大幅に上回る測定精度を達成した。μc-Si:H層解析技術については、光学データベースの構築に成功し、このモデルをZnO/ガラス基板上のμc-Si:H層の解析に適用し、μc-Si:H層の特性を表わすκの値を決定すると共に、高い膜厚測定精度0.6 nmを実現した。ZnO層解析技術については、塩酸ウエット処理によりテクスチャーを形成したZnO層のエリプソメトリー解析技術を開発し高い測定精度を実現した。
(2)インライン用エリプソメトリー解析技術の開発
 a-Si:H/μc-Si:Hタンデム型構造の評価について、μc-Si:H/a-Si:H/SnO2:Fテクスチャー構造に対する評価技術を初めて確立し、膜厚評価精度4 nmを達成した。スリットの導入により測定スポットサイズ4 mmを達成した。
(3)太陽電池特性面内評価装置の開発
小面積モジュールでの局所評価については、光ビーム幅10mmに加え、幅5mmでの光電流検出を実現した。そして、それぞれ10mm及び5mm間隔での面内測定が可能である事を実証した。要素セルの特性評価については、ライン光照射系としては、ソーラシミュレータ光源(キセノンランプ300W)、光ファイバー及びライン型ライトガイドの構成を決定し、基礎検証を実証中。
V.評 価
 薄膜シリコン太陽電池の製造プロセスにおいてインラインで、エリプソメトリーを用い、性能評価を行う装置の開発を目的としている。モデルサンプルの組成と構造解析に関する個別の要素技術開発は着実に進展している。オフライン用エリプソメトリー解析で得られた結果をインライン用エリプソメトリーの結果に関連付けて、薄膜太陽電池モジュールのプロセス改善と性能向上に結び付けることが次の課題であり、開発装置から得られた計測結果を製造プロセスへフィードバックする仕組みの構築を目指すべきである。早期に実機へ搭載し、厳しい状況にある太陽電池開発・製造分野の回復に寄与することを期待する。今後も開発を着実に推進すべきである[A]。


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