資料4

開発課題名「自閉症乳幼児診断用の注視点検出装置の開発」

(平成21年度採択:プロトタイプ実証・実用化タイプ)

開発実施期間 平成21年4月〜平成24年3月

    
チームリーダー :  桜井 敬久【(株)タイカ 次世代商品開発室 室長】
サブリーダー :  海老澤 嘉伸【静岡大学 工学部 教授】
中核機関 :  (株)タイカ
参画機関 :  静岡大学、浜松医科大学
T.開発の概要
瞳孔検出と角膜反射角を解析し、3次元空間の注視点検出が可能なプロトタイプ機を既に開発し、検出精度を実証してきた。本開発では、注視点異常検出から自閉症乳幼児の早期発見に向け、乳幼児の頭部の動きに追尾するカメラと注視点補正機能を追加することで、注視点異常を検出し、高精度で安価な早期診断用装置を開発する。専門医用に止まらず、乳幼児健康診査の標準検査に活用されることを目指す。
U.事後評価における評価項目
(1)早期診断・スクリーニング等自閉症診断に有用な診断基準の確立
 自閉症児は従来の固定されたカメラ較正点を見てくれず、較正が行えなかったが、興味を持つ画像を徐々に1点に収縮させた較正用動画を制作し、さらに音を付加することにより、画面に集中させる工夫をした。この画像を用いてテストを行った結果、自閉症児及び乳幼児を含む全員が較正点を注視するようになり、問題なく自動較正を行うことが可能となったことから、ソフトウェアの仕様を確定することが出来た。
(2)測定精度の向上と小型・低コスト化の検討
 ソフトウェアについて、検出精度の向上を目的として、注視点検出アルゴリズムを再検討した結果、動きの大きい乳幼児や、明るい瞳孔反射の乳幼児に対しても注視点データのばらつきを無くすことが可能となった。LED発光回路について、高照度、ユーザビリティ向上をめざし、筐体を含め新たに設計を行ない、合わせて発光プログラムの最適化や、撮像用カメラの取付位置及び設定値の最適化を図った結果、測定精度が向上した。小型・低コスト化は、市販のパソコン及び汎用的なグラフィックボードの使用、砲弾型LEDを用いた発光部を新たに製作することにより、低価格を実現できた。
(3)その他
定型発達児と自閉症児の差異が明確に現れる動画画像を制作し、試験を行った結果、感度及び特異度の確度が高いことが確認できた。さらに、得られたデータの解析結果をベースに診断アルゴリズムを検討し、解析プログラムを制作した。今までに取得したデーに基づいた、装置のハード及び診断基準を含めたソフトの仕様は確定したが、3歳以下の乳幼児のデータが不足しており、今後は、3歳以下の注視点データを重点的に取得、解析し、最終的な診断基準を確立する計画である。
V.評 価
独自性の高い開発であり、有効性が確認され定期健診等に利用されれば社会的意義が大きい。しかし、現時点では乳幼児に対する適用例が少なく、自閉症乳幼児早期発見に有効かどうかの判断には至っていないが、今後、更なる診断データの蓄積、医療機関との連携進め、薬事申請を目指して欲しい。本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


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