資料4

開発課題名「光バイオプシー診断における超高速処理ソフトウェアの開発」

(平成21年度採択:ソフトウェア開発タイプ)

開発実施期間 平成21年10月〜平成24年3月

チームリーダー :  大林 康二【北里大学大学院医療系研究科 教授】
サブリーダー :  池田 練造【(株)システムハウスつくば事業所 所長】
中核機関 :  北里大学
参画機関 :  (株)システムハウス
T.開発の概要
これまでに3次元の立体光断層画像を動画で見ることができる計測速度の超高速光コムOCTの「生体計測用・超侵達度光断層撮像技術」を開発した。本機器では、計測終了後にデータを解析して3次元動画を製作していた。実際の光バイオプシーの診断では実時間の3次元動画の表示が必要なため、本課題では超高速処理を可能にするソフトウェアを開発する。これにより、時間軸を含めた超高速実時間4次元光断層画像表示を実現する。
U.事後評価における評価項目
(1)分散処理ソフトウェアの性能
検体表面深さ数mmからの検出された近赤外散乱干渉光をFPGA上で動作させ、深さ方向320ch同時サンプリングを可能にした。データ処理は、1秒間に79万回のFFT処理を達成し、1ボリュームの3D画像データ(256断面)を1/12秒以内で算出しコンピュータに実時間転送して、実時間3D表示を可能にした。また、立体画像を構成する断層面数を256から128、64、32と減少させることにより、それぞれ、24体積/秒、48体積/秒、96体積/秒の転送を可能にした。
(2)3D表示ソフトウェアの機能
  目標である実時間3Dスライシング表示はもとより、当初計画になかった実時間3Dレンダリング表示、実時間3Dスタック表示を可能にした。画像更新周期は3Dレンダリング表示で12体積/秒あり、違和感のない実時間表示が得られた。スライシング表示及びスタック表示は0.7体積/秒であり、眼の追随にも適している。他に当初計画になかった強度レベル調整、色調整、クリッピング機能、回転機能等を付加し、ユーザビリティ向上を図った。
(3)データロギングの機能
  1ボリュームの3D画像データを1/12sec以内で算出してメモリに100分間分を実時間転送可能にした。表示機能も上述の3D表示ソフトウェアと同等にした。また、当初計画になかった更新周期調整機能、フィルタ機能(メディアンフィルタ)も搭載した。
V.評 価
非侵襲で悪性度の高い上皮癌などを検出できる光バイオプシー技術を本ソフトウェア開発でリアルタイムに3D表示が可能になるまで高めた。開発は順調に進捗し、開発目標を全て達成した。また、当初目標に無かったデータの更新周期調整機能などユーザビリティを高める成果を上げた点、基本特許にソフトウェアの権利化も内包して特許を登録した点は高く評価できる。今後は内視鏡への応用等、新医療技術として発展を視野に入れ、日本の代表技術の一つとして実用化することを大いに期待したい。本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


前のページに戻る