資料4

開発課題名「先端計測分析機器用共通ソフトウェアプラットフォームの開発」

(平成22年度採択:ソフトウェア開発タイプ【プラットフォーム開発】)

チームリーダー :  佐藤 了平【大阪大学大学院 工学研究科 教授】
サブリーダー : 吉岡 明紀【(株)ウェルインテクノロジー ソフトウェア開発部
エキスパート】
中核機関 :  大阪大学
参画機関 :  (株)ウェルインテクノロジー
(独)産業技術総合研究所
(株)松浦電弘社
T.開発の概要
 OSレスや非互換リアルタイムOSなどによる独自開発が多い先端計測分析機器ソフトウェア開発環境に対して、ユーザーフレンドリー(操作性、リアルタイム性など)で、かつ、開発効率が良く(再利用性、オープンソースソフトウェアの利用性など)、世界標準が可能な組込みソフトウェア開発環境を実現する先端機器用共通ソフトウェアプラットフォームの開発を行う。
U.中間評価における評価項目
(1)市販ソフトベースプラットフォームの開発
 市販ソフト上で共通プラットフォームを実現するため、アナログ透過型電子顕微鏡(TEM)のプラットフォーム化を試みている。アナログTEMのマニアル制御系を市販ソフトのPXI(PCベース制御プラットフォーム)システムベースの基本サブプラットフォームを構築し、デジタル制御化した。メーカーや機種が異なってもデバイスドライバーで差異を吸収する構成をとっているため、共通プラットフォーム側からは同一のアクセスが可能となり、中間目標を基本的に達成した。
(2)汎用的オープンプラットフォームの構築
 高コストパフォーマンスでAndroid等のオープンソフトとの親和性、連携性が必要なより汎用的先端計測・分析用オープンプラットフォームの開発を並行して進めている。汎用的オープンプラットフォームフレームワークの構築、リアルタイムミドルウェアの計測・分析機器への応用可能性調査、ハイパーバイザーコールのデザイン、DMS(Dynamic Monitoring Service)-ミドルウェア実装のデザイン、μITRON、Linux/Android協調動作環境の構築、動作検証アプリケーションの作成等を仕様書としてまとめた。
(3)オブジェクト指向システムデザイン手法の構築
 TEMシステムをオブジェクト指向的に、(a)ハードウェア装置(各種制御信号により計測・分析を行う装置構成)、(b)ソフトウェア(計測・分析機器を制御したり、表示したりするアルゴリズムとプログラム)、(c)ハードウェア処理回路(ソフトウェアを実行する回路)、に構成し、コンピュータ上で処理可能なSysML上でシステム定義し適正解を得る手法を構築した。
(4)教育用ソフトウェアプラットフォームの開発
本プラットフォーム開発で先行している市販ソフトを用いたサブプラットフォームによる実践型教育プログラムの開発を実施し、学生を中心に実践して教育効果を確認した。コミュニティ形成のため中核機関の内部にまず仕組みを構築し、課題等を共有できるウェブ上のコミュニティサイトの大枠を構築したことで中間目標をほぼ達成した。
V.評 価
 電子顕微鏡の制御系をメーカー、機種によらず共通にコントロールできるユーザビリティの高いオープンなプラットフォーム開発を目的としている。開発は概ね予定通り進んでおり、特に市販ソフトベースの開発で電子線制御が可能になった検証はプラットフォーム化の実現性を大いに近づけるものであり評価したい。本成果が今後の開発により汎用的でオープンな環境でも実現することを期待する。コミュニティ形成により我が国のメーカーを誘導することはもちろん、世界の趨勢に大きなインパクトを与える可能性もあり、開発を着実に推進すべきである[A]。


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