資料4

開発課題名「環境共生地熱開発のための計測・探査技術に関する調査研究」

要素技術タイプ(調査研究)

開発実施期間 平成21年10月〜平成23年3月

チームリーダー :  新妻 弘明【東北大学 大学院環境科学研究科 教授】
中核機関 :  東北大学
参画機関 :  なし
T.開発の概要
我が国の温暖化ガス大幅削減とエネルギーセキュリティの確保に寄与すると期待されながら、その開発が停滞している地熱エネルギーに関し、「環境共生地熱開発」という新たな視点について、そのニーズと先端技術シーズの調査を体系的に行う。本調査研究により、課題解決のための中長期的研究開発の方向性を明らかにするとともに、我が国の地熱開発に関する先端計測技術アクティビティの再構築を目指す。
U.事後評価における評価項目
(1)石油,CCS等関連他分野での計測技術の現状の把握と地熱分野への適用可能性の調査
 各ワーキンググループにおいて石油,二酸化炭素の回収・貯留(CCS)等関連他分野での計測技術の現状をレビューし,地熱分野への適用可能性および必要な技術開発について検討を行った。小型MT探査装置、高精度重力測定装置、坑井内磁場センサ等、現在の計測技術を調査し、将来の実現可能性について調査した。
(2)MEMSセンサ,光センサ等先端技術の地熱計測への適用性の調査
坑井内において磁気計測を行い,熱残留磁気分布を計測する手法の開発の検討を行い、その中でも小型・高感度・高温磁気センサ(含MEMS)の実現性があることが判った。坑井内においてMT法の原理により導電率分布を測定する手法について検討を行い、3方向の電場と,3方向の磁場(Z方向電場)が測定可能(少数の成分でも可)であり、MEMSを含めてシステムの小型化の可能性が判明した。さらに地熱計測に適したセンサネットワークの概念構築と坑井内センサネットワークの開発検討を行った。
(3)今後の地熱開発・利用のための技術開発の方向性、重点課題の調査
地熱開発が近傍の温泉へ与える影響を温泉温度,流量,同位体を用いて評価するための簡易計測システムの調査を行い、地下計測データから,地熱開発で発生する不都合な事象の発生確率とその影響の大きさの関数であるリスクを評価する手法の開発を調査した。特に19の重点的課題を選出し,それらの性能,実現可能性,必要なブレークスルー等を具体的に提示した。
V.評 価
抽出された各課題について、開発の意義、開発の可能性、必要なブレークスルーを検討し、地熱計測に特化した調査・検討を実施した。実用化後の市場規模は必ずしも大きくないが、開発された機器は石油・天然ガス分野において使用可能とすれば、国内外において大きな市場を有すると考えられる。小型・高感度・高温磁気センサの開発(含MEMS)が検討され、小型システムの可能性を示したことは評価できる。ただし、低価格・小型MT探査機器について必要性をより一層明確にし、本格的な開発が行われることを期待したい。


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