資料4

開発課題名「世界最速SNP診断装置の開発」

プロトタイプ実証・実用化タイプ

開発実施期間 平成21年10月〜平成23年3月

チームリーダー :  長倉 誠【バイオテック(株) 代表取締役社長】
サブリーダー :  石川 智久【(独)理化学研究所 主幹・上級研究員】
中核機関 :  バイオテック(株)
参画機関 :  (独)理化学研究所
(株)ダナフォーム
T.開発の概要
「個の医療」を実現する上で、安価で正確、迅速なSNP診断法とその装置開発は必要不可欠である。30分以内で遺伝子多型診断するSMAP法を技術基盤として世界最速SNP診断装置を開発し、薬物トランスポーターや薬物代謝酵素等の遺伝子多型診断を実現することを目指す。本開発において、国産技術の粋を集積したSNP診断装置プロトタイプの性能を検証し、更なる性能アップを目指す。
U.事後評価における評価項目
(1)プロトタイプ機の性能検証および改良
 従来装置と比較して、同程度の検出感度を得られるよう改良を行った。また、30分反応時の増幅曲線のばらつきは、96穴プレートの各ウエルにおいて、±10%以内とできた。さらに反応液量(5〜50μL)を変化させ、30分反応を行った時の増幅曲線のばらつきは各ウエルにおいて±10%以内とすることができた。
(2)量産機に向けた開発
 二波長計測を計画したが、励起色素のS/N比が不十分であるため、一波長に変更した。光学ユニットはLED光源(500nm)を導入することで小型化し、サンプルプレートをセットするユニットの扉部の改良により、装置占有スペースをプロトタイプ機の75%程度に収めることができた。また、ユーザーフレンドリーな測定ソフト、オペレーションソフトを開発し非専門家でも利用しやすいように配慮している。これらを踏まえ、医療機器としての安全性試験、EMC試験を実施しており、これが終了した後に医療機器として申請予定。
(3)臨床迅速SNP診断における100%確実性保証と迅速SNP診断装置の国際標準化
クリニック、大学病院における臨床試験を実施し、ワキガ患者の血液サンプルからの直接的SNP検出(正確度:26/26)、炎症性腸疾患患者の血液サンプルからの検出(正確度:282/282)を実施した。本装置の国際標準化を目指してチームを組み、国際シンポジウムの開催等を実施し、遺伝子検査標準化委員会に参加し、国際標準化に向けた準備を進めている。
V.評 価
血液からの遺伝子診断を行うために中核機関が開発していたプロトタイプ機を実用化に向けて改良し、量産化、国際標準を目指した実用化開発である。開発は順調に進捗し、装置については目的とした性能を達成し、短期間で医療機器認定に向けた安全性試験にまでたどり着くことができたことは高く評価したい。個別化医療を実現するためには、装置だけではなく、試薬やデータベースも必要不可欠であり、今後は、さらに国内外の医療現場による試験を継続して実施し、臨床現場における利便性・確実性の向上を図り、ユーザーニーズに応えた機器への改良が行われ、本機器が日本発の国際標準機となることを強く期待したい。本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


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