資料4

開発課題名「航空機大気観測の全自動システム開発のための調査研究」

機器開発タイプ(調査研究)

開発実施期間 平成21年10月〜平成23年3月

チームリーダー :  近藤 豊【東京大学  先端科学技術研究センター 教授】
中核機関 :  東京大学
参画機関 :  茨城大学
ダイアモンドエアサービス(株)
中菱エンジニアリング(株)
T.開発の概要
地球温暖化などの地球規模の大気環境問題は、今後長期にわたり人類が直面する重要な課題であるが、このような問題の正確な理解と解決には、地球規模の大気環境の鍵となるパラメータの3次元分布を系統的かつ継続的に測定・監視する必要がある。このため、航空機に搭載し無人観測を実施可能な自動大気観測システムの開発に関する調査研究を行う。多種多様なパラメータの高度分布の高精度な観測を実現するシステム開発のための詳細な調査検討を行う。
U.事後評価における評価項目
(1)航空機観測で用いる大気環境観測機器の自動化対応技術の調査研究
 大気環境観測装置(エアロゾル測定器、雲粒子測定器、一酸化炭素測定器、オゾン測定器)の自動化対応改修の基本設計として、大気環境観測装置の自動化対応改修内容のリストをまとめた。
(2)航空機観測の自動化制御技術の調査研究
 拡大制御系および自動観測システムの基本設計として、下記の基本設計を、(a)航空機自動測定システムの運用構想、(b)プログラム機能構成、(c)操作/表示画面構成にまとめた。
・拡大制御系の制御プロトコル/アルゴリズムの基本設計
・拡大制御系の正常動作監視アーキテクチャ/アルゴリズムの基本設計
・拡大制御系の自動データ収録アーキテクチャ/アルゴリズムの基本設計
・拡大制御系のリアルタイムデータ処理、表示アルゴリズムの基本設計
(3)航空機とのインターフェース技術の調査研究
 航空機の機内及び機外は地上とは異なる環境(気圧、温度、湿度等)である。また、電子機器類については作動時に電磁波等を生じるものもあり、それらが航空機の制御装置や計器の作動に影響を与えて、正常に作動できない場合もある。そのため、航空機に搭載する機器の設計に関してはそれらを考慮する必要がある。そこで、航空機とのインターフェース技術の基本設計として、搭載システムの耐環境性/電磁適合性の適用方法をまとめた。
(4)大気計測データのテレメトリ通信技術の調査研究
大気観測データのテレメトリ通信技術の基本設計として、テレメトリデータ加工プロトコルの基本設計書を作成した。さらに地上における長期観測形態への拡張性として、エアロゾル測定器(SP2)の地上観測自動化システムへの拡張性を検討した。
V.評 価
先端的な計測器を用いた航空機による直接観測は、測定精度、高度分解能の点で優れており、人工衛星と相補的な観測としてこれまでに多くの実績がある。全地球観測システム(GEOSS)においても、人工衛星とともに航空機観測の重要性が謳われている。従来の地球環境計測の中で放射性物質による汚染状況のモバイル観測に対しても同様の技術が考えられる。検討したシステムは大型であるため、実用化するためにはシステムをより簡易なものにし、小型で低消費電力なものとすることが必要である。より低価格で簡易型のシステムの検討が成されることにより、この観測法を確立する機器の早急な開発が行われることを期待したい。


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