資料4

開発課題名「多重磁気共鳴画像化支援ソフトウェアの開発」

ソフトウェア開発タイプ

開発実施期間 平成21年10月〜平成23年3月

チームリーダー :  市川 和洋【九州大学 先端融合医療創成センター 教授】
サブリーダー :  水田 幸男【日本電子(株)NM事業ユニット NMアプリケーション グループ
グループ長】
中核機関 :  九州大学
参画機関 :  日本電子(株)
ランダムフラクタルシステムズ(株)
T.開発の概要
生体レドックス状態を可視化する多重磁気共鳴画像化の実用化装置において、一般の医学研究者が容易に操作可能な機能画像化処理および撮像計画作成ソフトウェアを開発する。機能画像化アルゴリズムを実装し、生体レドックス、組織酸素分圧、組織pHの画像化処理、および、動物種・対象臓器・造影剤毎に最適な機能画像撮像計画(方法、条件)を提示する。本ソフトウェアにより実用化装置の有用性を高めることで、製品化の実現、医療用途への普及、とりわけ生活習慣病や癌などの病態解明、あるいは治療薬等の体内分布画像解析を可能とし、新たな治療法の創出と人類の健康に貢献する。
U.事後評価における評価項目
(1)画像処理及び画像抽出アルゴリズム等の機能開発
撮像済画像データ及び多重磁気共鳴画像化装置で得た画像データの実験条件・撮像条件を抽出し、汎用データベースソフト形式の環境でデータベースを構築した。新規撮像条件パラメータについては、撮像計画作成ソフトと連動してデータベースの既存パラメータから類似条件を抽出して類推し、未知パラメータを充填する機能を実装した。また、実験動物の部位・疾患・機能画像の種類を指定することで撮像計画データベースから目的にあった最適な造影剤、量、投与経路等を例示する機能を実装した。ユーザーが条件例を選択すると自動的に条件・撮像数が設定される機能を加えたことで、予備知識のない実験者が最適な撮像計画策定・画像取得が可能となった。生体レドックス等の機能画像化原理に基づき、Simplex法をベースとして、画像内各部位実測スペクトルデータから吸収線形等をパラメータフィッティングし、機能画像化するアルゴリズムを開発し、実装した。
(2)プロトタイプ機へのソフトウェア搭載
  本ソフトウェアをプロトタイプ機に実装したことで、機器や造影剤の扱いに習熟していないユーザーであっても実験を行うことができ、ハードルを下げることができた。本機器は今後、基礎・臨床研究や創薬開発への応用が期待される。なお、本装置は平成25年度に一般販売予定であり、同時にソフトウェアも一般公開される。
V.評 価
実験動物用の生体レドックス計測装置の操作性向上、及び造影剤等の予備知識・撮像経験がなくても利用可能とするユーザーフレンドリーなソフトウェアの開発を目指している。開発は順調に進捗し、目的とする機能をほぼ予定通りに実現し、プロトタイプ機への実装を達成した。今後はプロトタイプ機の実用化に併せ更なる改良、システムデザインができる技術者の参画、ならびに、汎用的なプラットフォームの採用等によりソフトウェアの開発・改良が第三者によって自動的にできる仕組みを作るなど、効率的な開発環境が整備されることを期待したい。本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


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