資料4

開発課題名「多孔性材料の細孔分布解析ソフトウェアの開発」

(平成21年度採択:ソフトウェア開発プログラム)

チームリーダー : 宮原 稔【京都大学大学院工学研究科 教授】
中核機関 : 京都大学
参画機関 :  日本ベル(株)
T.開発の概要
 粉体材料・多孔性材料のマイクロ・メソ細孔径分布は主にガス吸着等温線から解析されているが、これまで日本ベル(株)は世界最高レベルのガス吸着等温線測定機器の開発に成功している。このため、極めて広い範囲にわたる細孔径分布の評価が可能となり、その細孔径分布解析のための新規ソフトウェアの開発が急務となっている。本開発課題では、理論計算・分子シミュレーションを用いた吸着等温線計算プログラムを開発し、様々な材質・幾何学形状・サイズを持った各種細孔モデルに対する吸着等温線のデータベースを作成すると同時に、そのデータベースを用いて実測の吸着等温線から多孔性材料の細孔径分布を精密に解析するためのソフトウェアを開発することを目的とする。
U.中間評価における評価項目
(1)GCMCシミュレーションプログラムの開発
 プロトタイプ機を用いて測定した標準吸着等温線に理論吸着等温線をフィッティングし、相互作用パラメーターを決定して、スリット幅10nmまでのシミュレーションが可能となった。順調に進んでいる。
(2)NLDFT計算プログラムの開発
 NLDFT法による計算コード開発を完了し、細孔分布計算において解析可能なスリット幅を求めた結果、53.3nmまでの計算で十分であることがわかり、今後の計算工程範囲を変更した。
(3)細孔分布解析ソフトウェアGUIの開発
 起動時にメイン画面を表示し各ダイアログボックスにおいてパラメーター等を入力するGUIについて議論し、基本仕様書(20ページ)を策定した。
V.評 価
 粉体材料・多孔性材料の世界最高レベルのガス吸着等温線測定を可能としたプロトタイプ機のシミュレーションソフト等、ユーザビリティ向上を目指したソフトウェアの開発を目的としている。シミュレーションソフトはほぼ完成しており、各種パラメーターの決定がなされ、従来法と比較しても相対精度が高く、ほぼ全ての開発項目を計画通り順調に進んでいると判断する。また、大学と企業の協力関係も密であり、プロジェクトの方向付けが明確になっている点は評価したい。GUIについては基本仕様書の完成のみ記述されているが、性能、視認性、操作性等の有効性について未知であり、ユーザーの考え等が反映されるように、今後、開発を着実に推進すべきである[A]。


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