チームリーダー : |
浅井 圭介【東北大学大学院 工学研究科 教授】 |
中核機関 : |
東北大学 |
参画機関 : |
(なし) |
- T.開発の概要
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近年、放射光施設や核破壊中性子源の開発を受け、高強度の放射線を測定可能な高速対応シンチレータ材料の開発が注目されている。本開発では、半導体ナノ材料の励起子発光を利用した高速シンチレータを開発する。本開発では、高計数率測定用に長寿命成分を除去し、発光効率のより高い材料作製を行う。これらナノ材料シンチレータの開発により、広汎な科学技術分野に波及効果をもたらすと期待される。
- U.中間評価における評価項目
- (1)X線およびガンマ線検出用シンチレータの作製手法の確立
- 発光量については、有機層にフェネチルアミンを用いた有機無機ペロブスカイト型化合物単結晶について1MeV当たり13,400光子が得られた。またZrO2ナノ粒子を15Wt% 添加し、有機色素 b-PBO を蛍光体として用いた、有機無機ハイブリッドモノリスについて1MeV当たり7,520光子が得られた。さらに減衰時定数についても透明単結晶については8.0 ns が得られ、有機無機ハイブリッドモノリスについては2.2 nsと、目標であった10ns を達成できた。
- (2)中性子検出用シンチレータ材料開発における基盤技術の確立
- 透明単結晶、モノリスの作製では、20mmφ × 厚さ 6mm が得られた。10.3Wt%のホウ素あるいはリチウムを含有するプラスチックシンチレータの材料を開発することができ、市販のシンチレータの2倍以上の濃度をもつ材料を製作することができた。
- V.評 価
- X線とガンマ線検出用シンチレータの発光量や減衰時定数と、中性子検出用のシンチレータの作製に関して、中間評価時点のマイルストーンは、達成していると思われる。しかし、ニーズサイドの情報が希薄であり、今後は光検出素子の研究者とタイアップし、機器開発以上へのステップアップを考えるべきである。さらに、競合製品の開発の進展に留意しつつ、知的財産権の確保を行い、応用分野の開拓を含め、開発を着実に推進すべきである[A]。
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