資料4

開発課題名「ハイスループットタンパク質生産システムの開発」

(平成21年度採択:機器開発プログラム(領域非特定型))

チームリーダー : 田丸 浩【三重大学大学院生物資源学研究科 准教授】
中核機関 : 三重大学
参画機関 :  橋本電子工業(株)
T.開発の概要
 魚卵を用いた全く新しいタンパク質生産システムを開発する。本開発では、ゼブラフィッシュの受精卵を宿主とし、組織特異的なタンパク質発現ベクターを用いることで、これまで発現が困難であった膜タンパク質発現や目的の翻訳後修飾を伴ったタンパク質も生産可能である。受精卵の自動回収装置と1時間に3,000個の受精卵に遺伝子導入可能な装置によりハイスループット・システムを実現する。これにより、多くのタンパク質の構造・機能解析が加速度的に進展し、創薬や医薬品製造などの産業応用も期待できる。
U.中間評価における評価項目
(1)受精卵自動回収装置の基礎開発
 産卵に適した水槽ユニットを作成し、水槽10個(最終システムの1/6)による受精卵自動回収装置の試作モデルにより卵自動回収率90%以上、卵自動回収量8,400個以上/日に相当する回収結果を得て、数値目標を上回った。本装置は明暗による産卵制御機能をもつ。明期開始から3時間にわたって産卵が確認されたが、その間の平均回収量も1,000個以上/時を達成し、目標を達成した。
(2)卵整列固定プレート部の開発
 真空注型のウレタン樹脂を用いた308穴卵整列固定プレート(SBS規格準拠)を製作した。
(3)卵整列固定装置の原理検証モデル開発
着色魚卵サンプルを使って 上記固定プレートを装着した卵整列固定装置の原理検証モデルの動作確認を行った。受精卵自動固定速度は1プレートあたり67secであり、卵の整列固定率は、95%以上であることが確認できた。
V.評 価
 ゼブラフィッシュの受精卵の分散性と無菌操作が不要なことを活用して、組換えDNA技術でタンパク質をハイスループット生産する機器の開発である。受精卵を自動回収する装置はほぼ完成し、卵整列固定プレートも目標通り作成した。卵整列固定装置の原理検証モデルは、数値目標より若干不足しているが改良により早期達成が見込める。 今後は、この卵整列固定プレートを使った遺伝子インジェクション装置の開発に進み、標的受精卵の回収までを迅速に行えるよう総合性能の向上を目指し、開発を着実に推進すべきである[A]。


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