資料4

開発課題名「実験動物用のオプティカルバイオプシーシステムの開発」

開発実施期間 平成16年10月〜平成22年3月

チームリーダー :  佐藤 英俊【(独)理化学研究所 佐藤光バイオプシー開発研究ユニット 研究ユニットリーダー】
中核機関 :  (独)理化学研究所
参画機関 :  (株)相馬光学
東北大学(医工、医)
関西学院大学
(株)町田製作所
T.開発の概要
 実験小動物の体内を無・低侵襲で測定できる超小型のファイバープローブ型オプティカルバイオプシーシステムを開発する。ラマン分光に基づく分子診断機能と分光画像計測を融合するファンクショナルイメージング技術を用いて、疾患モデル動物の病態組織変化を、生きたまま長期間リアルタイムで解析できる先端的医学研究ツールである。応用研究を進め、がんの超早期診断や病態解析へ役立つ情報取得と診断技術への展開を目指す。
U.事後評価における評価項目
(1)組織診断スコープ技術の開発
 聴診器型プローブの開発に成功し、自家蛍光のハイパースペクトルイメージ計測が可能となった。モデルマウスの生体腫瘍組織無標識画像化に成功し、がん組織内の組織形態画像を良く反映したイメージを得た。自家蛍光イメージとラマンデータより再構成したファンクショナルイメージの解析に成功し、目標を達成した。
(2)内視鏡スコープ技術の開発
 内視鏡プローブの開発に成功し、拡散反射吸収ハイパースペクトル画像の計測が可能となった。マイクロ鉗子挿入可能で、ヒト用内視鏡に近い操作性を有する。胃がんモデルラットの同一個体のがん化までの連続計測に成功した。がんモデルラットによるラマンスペクトル計測に成功し、良性/悪性腫瘍 判別の可能性が示唆された。
(3)聴診器型組織診断OBSの開発
 ラマンプローブ内蔵聴診器型プローブおよびイメージングスコープを装備したオプティカルバイオプシーシステム(OBS)を開発した。皮下600μmまでの断層プロファイル測定を可能とした。
(4)内視鏡型OBSの開発
 ラマンプローブ内蔵内視鏡プローブ(外径2.5mm、マイクロ鉗子付き、内視鏡観察下で試料洗浄可能)およびイメージングスコープを装備したOBSを開発した。アングル機能片側180°以上で、分解能3μmで測定可能であり、目標を達成した。
V.評価
2種類のラマンプローブを開発し、ラマンスペクトル測定とスペクトルイメージングを行うことができる光バイオプシーシステムを開発した。
開発は順調に達成され、ラット・マウスのがんモデル(胃がん、大腸がん)の同一個体の経時変化観察を可能にし、また、ラマンスペクトル計測についてがんに特徴的なピークを見出すなどの成果を上げ、動物用の装置としては当初の目標を達成したものと評価される。この結果を応用したヒトの乳がん細胞のラマンスペクトル測定を実現したことも将来への展開に期待が持てる。また、参画機関において、本開発で培った技術を応用した食肉分析装置を開発、製品化するなど波及効果が期待される。
本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


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