資料4

開発課題名「超LSI故障個所解析装置」

開発実施期間 平成17年10月〜平成21年12月

チームリーダー :  二川 清【NECエレクトロニクス(株) 生産本部 テスト評価技術部 シニアプロフェショナル】
中核機関 :  NECエレクトロニクス(株)
参画機関 :  (独)理化学研究所
パナソニック(株)
大阪大学(情報科学、レーザー研)
浜松ホトニクス(株)
T.開発の概要
 超LSIチップの故障個所を、大気中で非破壊・非接触・非電極で電子レベル解析を行う超LSI故障個所解析装置を開発する。開発では、レーザー光をLSIチップ裏面から照射し、表面付近のp-n 接合近傍で発生する光電流による微弱な磁場をSQUID磁束計で検出し、光電流により励起されるテラヘルツ電磁波を検出器で検出する技術を開発する。レーザー光の照射位置とこれらの信号からLSIチップの故障個所解析を行う技術を確立する。
U.事後評価における評価項目
(1)2段階絞込み法のための走査レーザーSQUID顕微鏡(L-SQ)の開発
 第1段階でSQUIDを固定し、レーザービームを走査する。第2段階でレーザービームを固定し、SQUIDを走査する。磁場検出面積が微小なSUID開発とともにこの2段階方法により実デバイスでの故障個所を絞り込むという開発目標を達成している。
(2)高精度位置出し法のためのセラミックスステージ開発
 微小磁場測定のために非磁性体である位置決め精度100nmをもつセラミックスステージの開発を達成できた。さらに重心を計算するソフトを開発し、L-SQ像の選択した部分の重心を自動計算する方法を確立した。ステージの開発とともに初期の開発目標を達成している。
(3)レーザーテラヘルツエミッション顕微鏡(LTEM)の開発
 THz電磁波発生効率及び検出感度の向上を図り、180nm プロセスで製造されたLSIの故障個所絞込み、150nm,90nm プロセスで製造されたLSIのLTEM像取得に成功した。欠陥を作り込んだ実回路において、システム評価を行った結果、断線やショート欠陥について故障個所絞込みに成功した。絞り込み・LTEM像の観察と初期の開発目標を達成している。小型化には課題を残した。
V.評価
LSIの製作・使用段階において故障解析を行うために、従来何本もの配線を必要としていた故障解析装置に替わり、非破壊・非接触・非電極でおこなう故障解析装置を開発した。しかしながら開発機は、故意に断線や短絡をさせたLSIの解析については目標値を達成したが、他の故障解析装置との比較結果に乏しい。しかし、レーザーテラヘルツエミッション顕微鏡(LTEM)という新技術を開発したことは高く評価できる。今後はこの開発機を用いた実故障試料の観察を行い、実用化するべく、実故障試料を用いたデータの取得・蓄積を行うと共に、これらに基づき改良をすすめることを期待したい。
本開発は、当初の開発目標を達成したが実故障試料の解析が未達であり、本事業の趣旨に相応しい成果は十分には得られなかったと評価する[B]。


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