チームリーダー : |
林 久史【日本女子大学 理学部 准教授】
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中核機関 : |
日本女子大学 |
参画機関 : |
(なし) |
- T.開発の概要
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共鳴X線非弾性散乱(RIXS)からは、X線吸収微細構造(XAFS)の進化形である「寿命幅による分解能制限のない、化学状態を選別したXAFS(寿命幅フリー・状態選別XAFS)」が得られる。本開発では、「寿命幅フリー・状態選別XAFS分光法」の「操作性」を飛躍的に向上させるため、バンド計算の結果からRIXSをシミュレートするプログラムを開発する。
- U.中間評価における評価項目
- (1)共鳴X線非弾性散乱シミュレーター・プロトタイプの完成
- C++、Fortranを開発言語とし、「バンド計算ソフトWIEN2kで計算した選択的XAFSスペクトル」、「X線吸収の実験スペクトル」、「蛍光X線の実験スペクトル」から「RIXSスペクトル」を任意の励起エネルギーで計算するソフトウェアを開発した。本開発シミュレーターを「SIM−RIXS」とし、WindowsXP上で動作させることに成功した。プログラムの根幹部分は独立して動作可能である。
- (2)標準物質に対する寿命幅フリー・状態選別XAFSスペクトルの高精度計算
- WIEN2kを用いてシミュレーターの入力データとして必要な選択的XAFSスペクトルの理論値を求めたものと、いくつかの標準物質について理論スペクトルを求め、開発中のシミュレーターでRIXSスペクトルに変換、RIXSスペクトルを実験結果と比較し、最適な計算ルートを探索した。超格子の生成、内殻空孔を考慮した計算を行うと、吸収端の形状、スピンの向きに伴うスペクトルのエネルギーシフトなど「半定量的」な結果は得られることがわかった。
- V.評価
- チームリーダー独自の手法により、共鳴非弾性X線散乱(RIXS)を理論値と比較させ、寿命幅フリーのX線吸収微細構造(XAFS)を確立することを目的としたシミュレーター開発である。PC上で動作するプログラム開発は成功しており、一部目標を達成していない部分があるが、本方法はチームリーダーのみが開発できるユニークな方法であること、これまでのシミュレーターでは得られなかったスペクトルの性質などが反映されていることから、今後も開発を継続し、本方法の普及、幅広いユーザーの獲得を望みたい。また、ソフト開発に当たってはソフトウェアメーカーの協力も得つつ、開発を着実に推進すべきである。[A]
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