チームリーダー : |
荒野 泰【千葉大学大学院 薬学研究科 教授】 |
中核機関 : |
千葉大学 |
参画機関 : |
(なし) |
- T.開発の概要
-
生きたままの生体の機能を画像で捉える分子イメージングは、病態の解明や高度な画像診断、治療法の決定、新薬開発の迅速化と効率化に大きく貢献する。本課題では、汎用性に優れたSPECTによる分子イメージングの推進を目的に、1価の配位子とテクネチウム-99m(99mTc)との混合配位子錯体の形成により、標的分子への高い結合親和性を有する多価の99mTc標識プローブを与える基盤技術を構築する。
- U.中間評価における評価項目
- (1)2価混合配位子99mTc錯体を用いたインテグリンおよびヒドロキシアパタイトの分子イメージング
- Penicillamine(Pen)を配位子とするcRGDペプチドの検討から、本薬剤設計に基づく99mTc化合物は、@標的分子への集積を増加するだけでなく、A肝臓などの非標的組織への集積を低減する効果も併せ持つこと、BminiPEGをスペーサ構造に選択することにより、肝臓への集積がさらに低減することを明らかにした。また、ヒドロキシアパタイトに対する認識素子として、オリゴアスパラギン酸が有用であることを明らかにした。
- (2)3価混合配位子99mTc錯体の分子イメージングへの応用性評価
- 最適な単座配位子の選出と99mTc標識体の合成条件の確立:イソニトリルを単座配位子とするPh−CNを用いた検討から、3分子および4分子のPh−CNが結合した99mTc化合物が得られることを認めた。反応pHは生成する混合配位子錯体の組成に大きな影響を及ぼすこと、更に95%以上の収率で目的とする3分子結合体(3価化合物)を与える反応条件を明らかにした。また、本化合物をマウス血漿中でインキュベートしても、本化合物の分解は認められなかった。
RGDペプチドと単座配位子との合成方法の確立:cRGDfKのリジン由来のアミノ基とアミノヘキサン酸とを結合し、次いで、アミノヘキサン酸由来のアミノ基をイソニトリルに変換する方法により、99mTcとの配位子にイソニトリルを有する化合物が得られることを明らかにした。
- V.評価
- SPECT/CT装置の故障およびTc原料調達のトラブルにより研究成果の画像評価が得られていないが、分子標識化合物の設計および合成は順調に進んでいて、目標にあげていなかった成果に、混合配位子の形成を基盤とする本薬剤設計の新たな基本構造として有用で期待出来るPen以外の新たな配位子の開発が挙げられる。開発の困難さは理解できるが視点をもう少し広くし開発を着実に推進すべきである。[A]
|