資料4

開発課題名「超高速テラヘルツ波品質管理センサーの開発」

(平成20年度採択:機器開発プログラム【領域非特定型】)

チームリーダー : 谷 正彦【福井大学 遠赤外領域開発研究センター 教授】
中核機関 : 福井大学
参画機関 :  (株)先端赤外
信州大学
T.開発の概要
 非破壊、非侵襲、非接触での全製品検査は製造現場における積年の課題であるが、これに応える超高速テラヘルツ波品質管理用センサー(多チャンネル)を開発する。本開発では、製薬会社と連携して、インラインでの異種薬剤・異物混入検出のための品質管理センサーを目指し、独自サンプリング技術で超高速化と、2桁以上の高感度化を図る。その応用分野は、テラヘルツ波を透過する様々な工業製品に幅広く展開され得る。
U.中間評価における評価項目
(1)差周波同期サンプリングによる超高速化技術の開発
 差周波同期サンプリングを行うために、繰り返し周波数が可変のフェムト秒ファイバレーザを導入したが、非常に高い周波数安定度の発振器を外部トリガーに用いても、パルスレーザ本体のタイミングジッターの為高周波成分の超高速信号波形測定はできなかった。今後は、急遽対策立案した自己光帰還によるタイミングジッター抑制技術等を取り入れることにより目標を達成できる見込である。
(2)光伝導アンテナの高効率・高感度化ならびに接続モジュール開発
 光伝導アンテナの形状を最適化することで、放射効率および検出感度を改善し、テラヘルツ波検出のシステム感度を従来比より改善した。具体的には、1秒測定におけるパワースペクトルダイナミックレンジで60dB、システム感度として約25倍となった。
(3)実装技術開発ならびにソフトウェアの開発
 開発した光伝導アンテナ、SHG素子を含むモジュールに適合する構造のテラヘルツ波放射・検出ユニットのプロトタイプ構造設計・製作設計を完了した。また、ユーザーの利用に資するためのスペクトルデータベースの整備を開始し、115種類のスペクトルを取得、95種類をデータベース化した。
V.評価
 製薬ラインにおいて異物混入や異なる種類の薬物が混入することを防止するため、ラインスピードに対応した超高速のテラヘルツ波品質管理センサーを開発する。パルスレーザのタイミングジッターが原因で超高速測定については目標を達成することができなかったが、他については、開発が順調に進んでいる。タイミングジッターについても既に対策を立てており、年度内に達成できるものと期待できる。これらを踏まえて今後も開発を着実に推進すべきである。[A]


前のページに戻る