資料4

開発課題名「全方位高精度リアルタイム撮像ライダー装置」

(平成20年度採択:機器開発プログラム【一般領域】地球環境問題に関わる環境物質のオンライン多元計測・分析システム)

チームリーダー : 佐々木 真人【東京大学 宇宙線研究所 准教授】
中核機関 : 東京大学
参画機関 :  (株)ジェネシア
千葉大学
茨城大学
ショット日本(株)
T.開発の概要
 大気の組成の高度分布を遠隔計測する装置としてライダーが有効である。しかし、従来のライダーでは光学系の視野の狭さから大気環境の3次元分布測定は困難であった。本開発では、宇宙線撮像監視用に開発された超広視野かつ分角精度にて同時高速撮像できる望遠鏡を応用し、大気環境を高速高精度で3次元リアルタイム撮像監視する装置を実用化する。交差点における自動車排ガスエアロゾル、ビル屋上から監視した都市エアロゾルや広域オゾン層の実証観測を行う。
U.中間評価における評価項目
(1)広視野高精度望遠鏡の製作
 望遠鏡マウント試作と光学系実装を行った。部分鏡は、調節機構および光電レンズ撮像管の6軸制御機構による、焦点スポットの最小化の結果、統合焦点広がりは2分以下、焦点の時間変動は1分/日以下であることが確認された。
(2)光電撮像パイプラインの製作
光分岐伝達光学系は解像度劣化1分以下であり、また、トリガセンサーのトリガ判定時間は100ns以下であり、いずれも目標を十分達成した。
(3)多波長高速レーザー射出制御の製作
 二つのポリゴンミラーモーターを組み合わせた2軸同期のレーザー走査系を試作した。方向制御精度は、0.072度以下、走査速度最大36000度/秒で、目標値を大きく上回った。また、各レーザーの光路・強度モニターも製作し、各レーザーとも強度変動計測精度、補正後強度安定性が目標値を上回っていることを確認した。
V.評価
 宇宙線観測用カメラの最先端技術を応用した撮像ライダーの開発で、部品の設計と作製が着実に進捗している。昼間測定には、狭帯域フィルターで大面積のものが必要であったが入手困難なことが判明し、これを回避するため新規に開発された縮小光学系を新たに導入することで問題を解決している。可搬型の試作機が組み上がっており、室内試験は予定よりかなり早く進行中であり、屋外実測試験に向けてデータが出そろいつつある。試作機を用い、大気環境の実証観測を行い、他のデータとの整合性の確認試験を行い、装置の開発を積極的に推進すべきである。[S]


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