チームリーダー : | 峰雪 芳宣【兵庫県立大学大学院 生命理学研究科 教授】 |
中核機関 : | 兵庫県立大学 |
参画機関 : | 三谷商事(株) (株)ニコンインステック |
- T.開発の概要
- 1台の顕微鏡に、1分子イメージング用の光学系と、細胞全体を観察するための光学系を装備し、この2つの光学系を外部から1つのコンピュータで制御することで、対物レンズの交換なしに、高倍率狭視野(細胞局所)での蛍光ラベルした分子の挙動変化と、広視野で細胞全体(大局)の構造変化を同時並行して記録し、細胞の局所で起こっている分子の挙動変化と、細胞大局での状態変化との関係を記録、解析できるシステムを構築する。
- U.中間評価における評価項目
- (1)透過(共焦点レーザー顕微鏡システム:大局、C1光路)−透過(全反射顕微鏡システム:局所、TIRF光路)での並行撮影システムの構築
- 局所と大局の取得画像の倍率差を6.5倍にすることに成功した。さらに、局所と大局で異なる焦点面の撮影に成功した。
局所撮影モード、大局撮影モードの切り替え時間は12−16秒にできたため、1サイクル(局所→大局→局所)は、画像取得時間も含め1分以内が可能となった。それを1時間連続録画できた。 - (2)透過(大局、C1光路)−蛍光(局所、TIRF光路)での並行撮影システムの構築
- 蛍光プローブを導入したタバコ培養細胞を使い、1サイクルを局所撮影時間10秒、大局撮影 1コマとし、繰り返し撮影10サイクルを達成した。また、局所撮影の1画像取り込みに要する時間は995msで、目標の1秒以下での連続録画を達成した。
- V.評価
- 一つの対物レンズに対して、二つの光学系を自動制御して、観察対象の2種類の像を交互に記録する顕微鏡システムを開発している。2種類の像の中心は、z軸座標が異なるものであるが、x、y軸座標も異なっても良いように発展可能である。植物細胞生物学の現場の必要から出てきた新規機器なので、局所蛍光像と大局蛍光像を交互に撮ることを目指しているが、動物細胞も含めた、細胞生物学、発生生物学にとって有用な機器の開発が達成できると期待できる。今後は画像取得時間の短縮、蛍光退色の検討などを進め、開発を着実に推進すべきである。[A]