資料4

開発課題名「高効率回折・分光のための精密点集光結晶の実用化」

(要素技術プログラム)

開発実施期間 平成18年10月〜平成21年3月

チームリーダー :  中嶋 一雄 【東北大学 金属材料研究所 所長、教授】
中核機関 :  東北大学 金属材料研究所
参画機関 :  京都大学
T.開発の概要
 本課題では、シリコン、ゲルマニウム結晶の高温塑性変形を利用した精密な高温加圧加工技術を開発し、それに最適化された光学系を設計することによってX線光学基幹要素としての点集光結晶レンズの劇的な性能向上を実証する。具体的にはこれまでの基礎研究から明らかになってきた結晶の高温加工・成長と高温変形原理に関する知見を発展させることにより、集光取込角が0.05sr(全反射コンフォカルミラーの1.5桁上)の実現につながる点集光2次元集光結晶レンズの作成技術を確立する。
U.事後評価における評価項目
(1)精密な高温加圧加工技術の開発
 加工温度、加工速度、加工形状の精密制御ができる高温加圧加工装置を開発し、転位の導入量・運動速度を制御し、他すべり系との相互作用を抑制した融点直下での高温加圧加工技術を確立した。
(2)Johansson型モノクロメータの作成技術の開発
 Johansson条件と点集光条件を同時に達成する結晶加工技術を確立し、Ge333回折条件に対応する点集光Johansson結晶(R=300mm)を開発した。
(3)X線点集光の実証
 最適設計された光学系により、上記点集光Johansson結晶が面積比1/1600の点集光性能(当初目標:1/100)、0.03°の角度分解能(当初目標:0.1°)を有することを実証した。
(4)円筒結晶を用いた波長分散型多元素同時分光分析の実証
 R=50mmの円筒結晶を用いて、走査駆動系の無い波長分散型分光分析システムを構築し、その高い特性を実証した。
V.評価
 精密な高温加圧加工技術を開発して、Johansson型モノクロメータの作成とそれによるX線点集光の実証に成功したことは高く評価される。
 要素技術開発は順調に達成され、開発された点集光Johansson結晶は、面積比1/1600の点集光性能、0.03°の角度分解能という当初計画を大幅に上回る、世界のトップレベルの分光・集光結晶・作成技術ということができる。今後は平行X線を必須としないあらゆるX線装置への応用拡大に努め、早期の実用化が期待できる。
 本開発は当初の開発目標を達成し、それを上回る特筆すべき成果が得られたと評価する[S]。


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