資料4

開発課題名「光イオン化質量分析法による微粒子・微量成分計測」

(機器開発プログラム:領域特定型 【開発領域】極微少量環境物質の直接・多元素・多成分同時計測)

開発実施期間 平成16年10月〜平成21年3月

チームリーダー :  松見 豊 【名古屋大学 太陽地球環境研究所 教授】
中核機関 :  名古屋大学
参画機関 :  (株)堀場製作所、東京大学、京都大学、(独)国立環境研究所、(株)トヤマ
T.開発の概要
 サイズごとに微小粒子の化学成分を測定するレーザーイオン化微粒子質量分析器、および揮発性有機化合物を高感度検出する可搬型高感度光イオン化質量分析器を開発する。健康への悪影響が懸念されるディーゼル排ガス粒子などの大気中の微小粒子の分析、およびダイオキシン前駆体、シックハウス症候群原因物質や危険物などの高感度検出定量が可能となり、大気環境問題やリスク低減へ貢献する。
U.事後評価における評価項目
(1)可動型単一微粒子質量分析計
 装置大きさ170cm×80cm×130cm、重量200kg、運転時消費電力700Wで、300nm〜3μmの単一微粒子を個別に検出可能な装置を開発した。質量分解能は500程度であり、大気中の微粒子・エアロゾル成分、自動車排ガス微粒粉塵成分の実測定に成功し、目標を達成した。
(2)可搬型微量有機成分計
 装置大きさ25cm×50cm×50cm、重量20kg、運転時消費電力100Wで、大気測定に必要とされている検出感度100pptvを備えた装置を開発した。質量分解能は850程度であり、大気中の芳香族化合物・揮発性有機化合物の実測定に成功し、目標を達成した。
V.評価
 サイズごとに微小粒子の化学成分を測定するレーザーイオン化微粒子質量分析器、および揮発性有機化合物を高感度検出する可搬型高感度光イオン化質量分析器の開発により、健康への悪影響が懸念される大気中の微小粒子の分析や規制対象の化合物等の高感度検出定量が可能となり、大気環境問題やリスク低減への貢献が期待される。
 機器開発は順調に達成され、特に単一微粒子の化学成分の高感度測定については優れた成果を上げ、当初の目標を達成したものと評価される。また、開発装置による測定結果の公表により、計測技術および環境問題に関し、社会的なインパクトを及ぼすこともできた。今後は、単一微粒子質量分析計については粒径分布と成分分布の同時計測の実現を検討し、また対費用効果・具体的な応用分野等についても精査し、開発成果の事業化へ向けた取り組みを引き続き行うことが期待される。
 本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


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