資料4

開発課題名「超微量用固体NMRプローブの開発」

(要素技術プログラム)

チームリーダー :  山内 一夫【東京農工大学 大学院共生科学技術研究院 助教】
中核機関 :  東京農工大学
参画機関 :  なし
T.開発の概要
 超微量のサンプルについて、固体NMR観測を可能とする、微量サンプル用のマイクロコイルプローブを開発する。固体NMRは一般的に測定感度が低いために多量のサンプルを必要とし、現在ミリグラム以下の微量の試料についてはNMRが適用できていない。マイクロコイルプローブの製作および、新しいサンプル調整技術などを開発し、ナノグラム単位の微量試料のNMR観測を実現する。
U.開発項目
(1)マイクロコイルを用いた高感度化プローブ開発
 内径1mm、長さ5mmのソレノイド型マイクロコイルが高感度化に最も有効な大きさであると判断し、このコイルと回路を用いたプローブで、性能を評価した。結果、市販のプローブに比べて、約7倍の信号強度を得た。
(2)マイクロコイルに対応した高分解能プローブ開発
 微量サンプル及びマイクロコイル対応のサンプル管として世界最小のサンプル管の製作に成功した。サンプル管材質の検討も行い、高分解能スペクトルを得るのに最適かつ耐久性の高いジルコニアを選定した。サンプル管を高速回転可能な、マイクロコイルと開発したサンプル管からなるホルダーを製作した。本プローブにより最高50KHzまでの回転数を達成し、高分解能化に成功した。
(3)超微量用(高感度化・高分解能化)汎用プローブ開発
 汎用性を高めるために、高感度コイルの配置を考慮し、高分解能サンプル管の形状などを改良した。この改良により4.2マイクログラムの標準試料(アダマンタン)の信号検出が可能となった。
V.評価
 超微量のサンプルについて、固体NMR観測を可能とする微量サンプル用のマイクロコイルプローブの開発は、我が国に広く普及しているNMRの性能を大きく向上させ、その応用分野を広げるツールとして期待される。
 要素技術開発は順調に達成され、目標としていた高感度、高分解能化を達成した。さらに既製のNMR装置に装着して使用できる回転サンプルホルダーの作製も行い、広い市場性を見込める優れた成果が得られたものと判断された。今後は市場競争力や知的財産面での優位性に考慮しつつ、開発成果の事業化に向けた取り組みが引き続き期待される。
 本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する。A


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