資料4

開発課題名「オンサイト環境測定用マイクロガスクロシステム」

(機器開発プログラム:領域非特定型)

チームリーダー :  内山 一美【首都大学東京 都市環境学部 教授】
中核機関 :  首都大学東京
参画機関 :  株式会社島津製作所
弘前大学
富士電機システムズ株式会社
東京都健康安全研究センター
T.開発の概要
 ガスクロマトグラフの要素技術の超小型化によって、オンサイトで微量有害物質を測定するガスクロマトグラフ分析システムを開発する。本開発では、微量試料導入用マイクロチップ試料インジェクター、オンチップカラムユニット、また、検出システムとして電子捕獲検出ユニット・原子発光スペクトル検出ユニットの小型化・高感度化を達成し、これにより、世界初のオンサイト分析システムを実現する。
U.開発項目
(1)オンチップカラムユニットへ導入する微少量試料導入法の確立
 インクジェットマイクロチップをマスクから設計し直し、当初の目標値である,試料量数〜数十μL、試料導入量数pL〜数十nLを達成した。
(2)オンサイトマイクロガスクロマトシステムに搭載する高感度検出ユニット
 90MBqの63Niを用いた電子捕獲型イオン化検出器(ECD)について、検出限界を 0.04pg(S/N=10)と目標値を一桁更新し、また、セルの構造を改良することで安定性を既存のものよりも大きく改善した。ヘリウムプラズマを用いた超小型・高性能原子発光検出器(AED)については、同軸二重管型マイクロプラズマトーチを備えた、世界最小のAEDを試作し、検出感度8 pgS/sec(S/N=3)、12 pgP/sec(S/N=3) と目標値を達成した。これらにより、消費電力も極めて小さいオンサイト分析に適した検出ユニットを開発した。
(3)オンチップカラムユニットの開発・マスフローコントローラの開発
 マイクロガスクロマトグラフィーシステム用、オンチップマイクロキャピラリーカラムを開発し、本カラムに適合したカラムオーブンを搭載したGCシステムを開発した。試作したフローコントローラチップと制御回路系により、0〜5sccmの流量域で最大でも±0.03sccmの変動幅での安定した高精度の流量制御を達成した。
(4)マイクロガスクロマト装置の開発
 一次試作モデル、汎用モデル及びコンセプトモデルを完成し、目標の大きさ、重量を達成した。
V.評価
 微量試料導入用マイクロチップ試料インジェクター、オンチップカラムユニット、高感度選択性検出ユニット等のガスクロマトグラフの要素技術の超小型化によるガスクロマトグラフ分析システムの開発により、オンサイトで微量有害物質を測定できる世界初の分析システムの実現が期待される。
 機器開発は順調に達成され、MEMS技術を用いたオンチップカラム、電子捕獲型イオン化検出器(ECD)、高性能原子発光検出器(AED)を用いた検出ユニット、マイクロチップ試料インジェクター、MEMS技術を用いたマスフローコントローラー等の主要な要素技術開発についても当初の目標を達成し、世界最高性能を有するプロトタイプ機器を完成した。今後は、早急に実用化戦略を具体化して事業化を検討し、日本発の計測分析技術として国際的に認められるマイクロガスクロマトグラフシステムの汎用化へ向けた取り組みを行うことが期待される。
 本開発は当初の開発目標を達成し、それを上回る特筆すべき成果が得られたと評価する。S


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