資料4

開発課題名「ファンクショナル熱レンズ顕微鏡」

(要素技術プログラム)

チームリーダー :  渡慶次 学【マイクロ化学技研株式会社 特別研究員】
中核機関 :  マイクロ化学技研株式会社
参画機関 :  東京大学
財団法人神奈川科学技術アカデミー
日本板硝子株式会社
T.開発の概要
 非発光性試料についても高感度な測定が可能な熱レンズ顕微鏡の超小型化と多機能化のための基盤要素技術を開発し、ロックインアンプの1チップ化によるシステム全体のモバイル化、多分岐ファイバによる多点同時分析化等を実現する。また、回折効果を考慮できる波動光学的解析法の開発により、ミクロ空間の熱レンズ測定設計法を確立し、ファンクショナル熱レンズ顕微鏡への展開を目指す。
U.開発項目
(1)熱レンズ顕微鏡の小型化
 ロックインアンプ・電源の小型化について目標サイズを達成し、140mm3相当の小型装置を作製した。
(2)熱レンズ・蛍光同時測定
 熱レンズ・蛍光共に目標とする感度を達成し、装置化した。
(3)多点同時測定化
 8点同時測定可能なデバイスを製作した。
(4)設計法の確立
 開口数(NA)、色収差、流路位置ずれに対する熱レンズ信号挙動をシミュレーションできる解析法を確立した。3次元流体解析を組み合わせることにより、流れを含む系での熱レンズ解析にも対応できるものであり、各パラメータについて、シミュレーションと実験結果が一致することを確認した。さらに、この解析コードを作成し、全ての可変パラメータで設計が可能な熱レンズ測定装置の独自の光学系設計ツールを構築した。
V.評価
 非発光性試料についても高感度な測定が可能な熱レンズ顕微鏡の超小型化と、その多機能化のための基盤となる要素技術の開発は、集積化マイクロチップなどの医療・環境分析の簡便化等、微小空間における新しい化学・バイオ分析に対するニーズを満足させるものとして期待される。
 要素技術の開発は順調に達成され、装置の小型化・性能向上において優れた成果をあげ、短期間で当初掲げた目標を達成したものと評価される。今後はユーザーサイドのニーズを考慮しつつ開発した技術の応用領域を検討し、開発成果の事業化へ向けた取り組みを引き続き行うことが期待される。
 本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する。A


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