資料4

開発課題名「生体分子のオンチップ分離・回収と1分子機能解析」

(要素技術プログラム)

開発実施期間 平成16年10月〜平成19年3月

チームリーダー :  船津 高志 【東京大学 大学院薬学系研究科 教授】
中核機関 :  東京大学
参画機関 :  早稲田大学
T.開発の概要
 光学顕微鏡による1分子検出・操作技術と半導体微細加工技術を融合させ、チップ内で生体分子の機能を1分子レベルで計測する技術、および生体試料を微小流路に流し、蛍光標識した分子を1分子ずつ分離・回収することにより、それと結合している分子を同定する技術を開発します。本手法は、生体分子の機能解析や生体分子間相互作用の解析を行うための強力な分析技術であり、ポストゲノムのタンパク質機能解析に大きく貢献します。
U.事後評価における評価項目
(1)生体分子の機能を1分子レベルで評価する(オンチップ1分子機能解析)技術の開発
 無細胞翻訳系によりタンパク質分子に選択的に蛍光色素を導入する手法により、タンパク質分子の機能やタンパク質分子間相互作用を試験管内合成から2時間以内に、1分子レベルで解析することに成功した。また、ナノ開口による1分子蛍光イメージング技術により、解離定数がμMより大きいようなタンパク質間の弱い相互作用も1分子レベルで検出することに成功した。
(2)生体分子をマイクロチップ上で分離・回収する(オンチップ分子ソーター)技術の開発
 微小流路内で蛍光標識された生体分子や超分子複合体等をサブミリ秒で検出し、その後4ms以内に分離することに成功した。また、1日の分離操作で3x105個の粒子を回収することを可能とした。さらに、ソーターの16列並列化に成功した。
V.評価
 生体分子をチップ上で分離、回収する要素技術、およびチップ内で生体分子の機能を1分子レベルで計測する要素技術の開発は、生体分子の機能解析の強力な分析技術となることが期待される。
 要素技術の開発はいずれも順調に達成され、温感性ゲルバルブ、ナノ開口など原理の独創性、新規性は高く評価でき、1分子機能解析のための計測分析機器の性能を飛躍的に向上させることが期待される。今後は、これら要素技術を統合した汎用性のある機器開発が課題となるが、民間企業等との共同研究による事業化への努力と、戦略的な知的財産の形成への努力が引き続き期待される。
 本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する。


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