資料4

開発課題名「高効率回折・分光のための精密点集光結晶の実用化」

(要素技術プログラム)

チームリーダー :  中嶋 一雄 【東北大学 金属材料研究所 所長】
中核機関 :  東北大学
参画機関 :  京都大学
T.開発の概要
 本課題ではシリコン、ゲルマニウム結晶の高温塑性変形を利用した精密な高温加圧加工技術を開発し、それに最適化された光学系を設計することによってX線光学基幹要素としての点集光結晶レンズの劇的な性能向上を実証する。具体的にはこれまでの基礎研究から明らかになってきた結晶の高温加工・成長と高温変形原理に関する知見を発展させることにより、集光取込角が0.05sr(全反射コンフォカルミラーの1.5 桁上)の実現につながる点集光2次元集光結晶レンズの作成技術を確立する。
U.中間評価における評価項目
(1)単結晶ウェハーの高温加圧加工技術の確立
 ウェハー曲げ加工における転位の分布から変形機構を解明した。それに基づいたウェハーの条件を提示した。SiおよびGe結晶において目標とした球面半径での高温変形加工が可能となった。
(2)2次元(線)及び2次元(点)集光可能な結晶の実現
 1次元(線)及び2次元(点)Johansson素子加工表面曲率精度、格子面曲率の精度が所定の見込角における目標値を達成できた。
V.評価
 シリコン、ゲルマニウム結晶の高温塑性変形を利用した精密な高温加圧加工技術を開発し、それに最適化された光学系を設計することによりX線光学基幹要素としての点集光結晶レンズの劇的な性能向上を実証することは、点集光2次元集光結晶レンズの作製技術として、材料開発や評価の現場への貢献が期待される。
 開発は極めて順調に進行しており、結晶レンズの独創的な加工法の有用性が実証できた点は予想を上回る進捗で、今後の発展性も見込まれる。また結晶の塑性変形に拘わる学問的な知見、ノウハウについても蓄積されつつある。今後は、応力解析の専門家の参画について検討し、開発成果の知的財産確保に努め、ベンチャー企業の設立等も視野に入れた事業化に向けての準備を進めつつ、積極的に推進すべきである。


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