資料4

開発課題名「質量分析用超高感度粒子検出技術」

(要素技術プログラム)

チームリーダー :  大久保 雅隆 【独立行政法人 産業技術総合研究所 計測フロンティア研究部門 主幹研究員】
中核機関 :  独立行政法人 産業技術総合研究所
参画機関 :  自然科学研究機構
コアックス株式会社
岩通計測株式会社
T.開発の概要
 飛行時間型質量分析では、質量/電荷比によって粒子を時間軸上で分離する。しかし、たんぱく質等の粒子は飛行時間以外にも運動エネルギーといった異なる軸上の情報を持っており、これを高精度で計測できれば、高分子の断片化による疾患マーカーの検出やたんぱく質シーケンシングのような高度な解析を、複数の前駆高分子について同時に行うことができる。この計測を、高感度超伝導粒子検出器の開発により実現し、日本のプロテオミクス研究の飛躍的発展に貢献する。
U.中間評価における評価項目
(1)巨大分子の検出
 運動エネルギー分光結果から、100%の検出効率を実験的に初めて確かめた。
(2)超伝導大規模アレイ検出器用トンネル構造作製プロセス確立
 100個の超伝導トンネル素子の中で、動作可能な素子の割合は20%と、数値目標を下回った。
(3)極低温動作GaAs FET開発
 GaAs FETを自作できるレベルに達成し、目標ノイズレベルを達成した。
(4)セミリジッド合金超伝導同軸ケーブル用NbTi極細パイプ開発
 世界初となるシームレスセミリジッドNbTi同軸ケーブルの製造目処が付いた。
V.評価
 プロテオミクスにおける質量分析のために、超伝導現象に基づく粒子検出技術を開発する。イオン源から放出されるたんぱく質等の高分子を検出対象とし、飛行時間型質量分析法にて、イオン、粒子(中性粒子を含む)毎に飛行時間と粒子の運動エネルギーを数え落としなく検出(検出効率100%)しようという素晴らしい画期的な要素技術開発であり、今後の展開が期待される。
 個々の開発要素の成果はほぼ計画通りに進行しているが、今後はスパッター条件の最適化等により、超伝導大規模アレイ検出器用トンネル構造作製プロセス確立に関わる歩留まりを20%から目標である80%に高め、着実に推進すべきである。


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