資料4

開発課題名「疾患早期診断のための糖鎖自動分析装置開発」

(機器開発プログラム:領域非特定型)

チームリーダー :  西村 紳一郎 【北海道大学大学院 先端生命科学研究院 教授】
中核機関 :  北海道大学
参画機関 :  株式会社日立ハイテクノロジーズ
T.開発の概要
 一滴の血清などから、現在の450倍の速さで全自動で糖鎖を分析する、世界初の「糖鎖自動分析装置」を開発する。癌や各種生活習慣病などで発現が変化する糖鎖の異性体構造を含む20種類以上の構造と量の解析を実現する。医療費の高騰や高齢化社会など、疾患予防診断の必要性が益々増大しているが、疾患により変化する糖鎖の解析は予防診断上不可欠な技術であり、本技術の開発により社会貢献を目指す。
U.中間評価における評価項目
(1)血清グルコース除去法の確立
 本工程自体を省略できる条件を確立した。
(2)糖鎖遊離法の確立
 血清以外にも培養細胞や臓器の破砕液についても有効な手法として、定量的な遊離を完了する糖鎖遊離法を確立した。
(3)糖鎖捕捉・回収法の確立
 定量的な捕捉、夾雑成分の洗浄方法を定め、任意の標識体として糖鎖を定量的に回収できる捕捉分子を開発した。
(4)糖鎖の分離、検出
 数値目標以上の種類の糖鎖が、液体クロマトグラフと質量により分離される条件を確立した。また、微量検出のための条件を確立し当初目標を達成した。
(5)データ処理フォーマット作製
 任意の数の糖鎖の量比データおよび疾患情報を多変量解析するためのデータフォーマットを作成し、関節リウマチ疾患についてその有用性を実証した。
(6)全自動化可能な装置構成図の作成
 前処理からデータ処理まで全工程の装置構成図を作成し、さらに前処理から精製の工程については自動化装置を試作した。
V.評価
 生体タンパク質の糖鎖修飾は、様々な生命現象および疾患において重要な意味を持つことが明らかになりつつある。開発中の「糖鎖自動分析装置」は、微量の生体試料に対して独自の洗練された前処理を施すことによって、高速かつ網羅的に糖鎖を分離分析することを可能にしたものであり、生命科学および医薬研究分野に大きな貢献が期待できる。
 装置開発は順調に進行しており、当初目標に掲げた成果は十分に達成できると思われるが、今後は、早期市場化に努め、臨床解析や糖鎖生物学への応用など、技術の新たな展開を検討しつつ、積極的に推進すべきである。


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