資料4

開発課題名「AFM探針形状評価技術の開発」

(要素技術プログラム)

チームリーダー :  一村 信吾 【独立行政法人 産業技術総合研究所 計測フロンティア研究部門 部門長】
中核機関 :  独立行政法人 産業技術総合研究所
参画機関 :  東京理科大学
独立行政法人 物質材料研究機構
NTTアドバンストテクノロジー株式会社
T.開発の概要
 原子間力顕微鏡(AFM)においては探針の先端形状のわずかな違いが測定結果(観察画像)に大きな影響を与える。本開発では、先端形状評価用標準試料と評価技術の確立をめざす。化合物半導体成膜技術を応用して、5〜100nmの凸凹周期構造と1nmレベルの孤立構造を持つ標準試料を開発し、探針形状の精密測定を可能にする。さらに標準試料による形状補正アルゴリズムを開発して、AFMにおけるナノ測定の定量化、標準化に貢献する。
U.中間評価における評価項目
(1)Aタイプ試料のエッチング・研磨条件の確立
 櫛形構造試料の凸部(AFMプローブの接触面)の表面平坦性として、目標値を実現した。
(2)Aタイプ試料の一次試作品
 櫛形構造試料の孤立最小線幅として、GaAs/InGaP系、Si/SiO2系で目標値を実現した。櫛形構造試料の最大線幅としてGaAs/InGaP系で目標周期構造を実現した。
(3)Bタイプ試料の第一次試作
 100nm周期のテストパターン上でカーボンナノチューブの架橋を確認した。
(4)特性評価装置試作
 カンチレバー振幅・摩擦力評価装置を作製し測定精度を確認した。
V.評価
 AFM装置を用いて得られるナノ構造体の観察像では、通常AFMチップの先端形状等の影響を受けて、二次元方向分解能および深さ方向分解能が劣った像しか得られない。このためチップの先端形状等を評価し観察像を再構成すれば、分解能を上げる事が出来る。本開発は、ナノ構造体の正確な形態(形状)評価を可能にする評価技術と評価用標準物質の開発を目的としており意義深い。
 本開発では、多くの要素技術開発が順調に推進しており、全体としての進捗は評価できるものである。櫛形構造を持つ標準試料作製については、GaAs/InGaP系試料のテストパターンにおいて、設計値(膜厚)で8nmの完全な孤立構造が作製可能なことが確認されており、早期の実用化・製品化が求められ、タイプAについては、可能な限り早い段階での製品化を期待する。今後は、当初掲げた目標を達成できるよう必要な要素技術を吟味しつつ、着実に推進すべきである。


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