資料4

開発課題名「収束イオンビ-ム/レーザーイオン化法による単一微粒子の履歴解析装置」

(機器開発プログラム:領域特定型「極微少量環境物質の直接・多元素・多成分同時計測」)

チームリーダー :  藤井 正明 【東京工業大学 資源化学研究所 教授】
中核機関 :  東京工業大学
参画機関 :  新日本製鐵株式会社
工学院大学
T.開発の概要
 ナノスケール加工可能な収束イオンビームと特定の分子種を選択検出できるレーザーイオン化を融合した新たな局所分析法により、微粒子の表面と内部の組成の違いを計測する単一微粒子履歴解析装置を開発する。有害な大気浮遊粒子状物質のうち環境場や発生起源に特徴的な微粒子に適用し、年輪の様に刻まれている組成分布情報から発生源や浮遊履歴を解明する。これにより汚染物質の生成機構を明確化する事で環境科学に貢献する。
U.中間評価における評価項目
(1)FIBナノサンプリング法の開発
 単一微粒子の表面、内部の組成分布測定に成功した。
(2)FIBナノサンプリング-RENPI法の開発
 実際の環境試料において、選択的イオン化に成功した。
(3)IR-VUVの光軸調整法
 赤外スペクトル測定に成功した。
(4)多塩化芳香族のイオン化
 イオン化の新手法を開発し、異性体選別にも成功した。
V.評価
 大気浮遊粒子状物質(SPM)は多様な発生源を有する極めて複雑な混合物であり、環境場の影響により複雑な反応を経て変化するが、これらの動態解析を時間的・空間的に精密化し、個々の粒子が有する履歴情報を解析できる装置の開発は、汚染の実態把握と対策に資するものとして期待される。
 本開発では、各要素技術を担当している開発者間の連携を緊密に行いながら、分光学の最先端とFIBなど他の手法を組み合わせた分析法の確立を目指して順調に進行している。当初目標に掲げた成果は十分に達成できると思われるが、今後は、分子の違いによる光イオン化効率の違いの定量化、製品化の際の機能の絞込みなども考慮しつつ、着実に推進すべきである。


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