資料4

開発課題名「生体計測用超高速フーリエ光レーダー顕微鏡」

(機器開発プログラム:領域非特定型)

チームリーダー :  谷田貝 豊彦 【筑波大学大学院 数理物質科学研究科 教授】
中核機関 :  筑波大学
参画機関 :  フジノン株式会社
T.開発の概要
 生きたままの生体試料の断層画像を実時間で測定する顕微鏡を開発する。生体試料からの反射光を基準参照光と干渉させ、そのスペクトルをフーリエ変換することにより、非接触・非破壊・無侵襲で生体組織の断層映像を高速に取得する。眼球の観察や皮膚組織の評価はもちろんのこと、内視鏡にこの顕微鏡を組み込むと、胃や肺の表層組織の観測、あるいは、ガン組織の評価・診断なども可能になり、医療の高度化に貢献する。
U.中間評価における評価項目
(1)解像力の向上
 縦・横両方向の分解能について、当初の目標値が達成された。
(2)測定速度の向上
 カメラの高速化およびデータ転送方式の効率化について、いずれも当初の目標値が達成された。
V.評価
 光コヒーレンストモグラフィー(OCT)を初めとした、生体組織内部の非接触・非破壊計測のために従来取られてきた手法に代わり、干渉光のスペクトル強度分布のフーリエ変換を計算し、低コヒーレンス干渉の原理を用いて奥行き方向の情報を走査せずに可視化し得るフーリエ光レーダー顕微鏡(FORM)を開発した。さらに円筒レンズを用いて横方向走査も不要にし、生体表面近傍組織の3次元形態とその変化を高速に画像化することに成功した。これを内視鏡へ応用すれば測定時間の短縮による検体への負担軽減および高い信号対雑音比の実現を可能にする極めて独創性の高い有力な手法にできよう。既にプロトタイプ機を用いた眼科・歯科・皮膚科関連の撮影画像が得られており、開発実現の可能性は高い。この分野は国際的に競争が激しく、優位性を確保するためには研究体制強化による開発の加速が必要である。今後は機器製作に必要な知的財産権の権利化を適切に行い、かつ臨床への早期応用を実現すべく開発人員の増員等を行いつつ積極的に推進すべきである。


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