資料4

開発課題名「薬物・医療スクリーニングを目指した
オンチップ・セロミクス計測技術の開発」

(要素技術プログラム)

チームリーダー :  安田 賢二 【東京大学 大学院総合文化研究科 助教授】
中核機関 :  東京大学
参画機関 :  長崎大学
T.開発の概要
 1細胞単位で細胞集団の空間配置・種類・数などの「パターン」を制御することにより、臓器組織と同様な応答を期待できる「細胞集団ネットワーク」をマイクロチップ上に構築する。これを薬物・医療スクリーニングに用いる「臓器モデルとなる細胞集団ネットワーク」計測手法の確立に役立てる。これらの技術により、動物実験に代わる新しい細胞ネットワーク計測の産業化を実現する。
U.中間評価における評価項目
(1)マイクロ培養チップ
 細胞ネットワーク培養計測システムの開発、細胞ネットワーク培養チップの試作とネットワーク構築プロトコル技術の開発に成功し、量産型マイクロ細胞培養チップの作成に着手した。
(2)医療・診断スクリーニング技術
 免疫細胞を用いたスクリーニング技術の開発において、精製マクロファージを用いて1細胞レベルでの細胞培養・応答計測システムを構築し、これを用いてマクロファージの応答のダイナミクスを計測することに成功した。また、神経細胞を用いたスクリーニング技術の開発において、マウス神経幹細胞を用いて分化誘導後、発現してくる転写因子経時的な変化を明らかし、神経幹細胞からニューロンへの分化に起こる遺伝子発現パターンを確認した。さらに、心筋細胞を用いたスクリーニング技術の開発において、薬剤効果の検討を行ったところ、薬剤がもたらす不整脈効果、拍動増進効果などを細胞ネットワークチップで確認することができた。
V.評価
 細胞ネットワークの配置・培養・計測という一連の処理が行えるオンチップ・セロミクス計測システム(ハードウエア)の開発と、一連の薬効測定・毒性検査を細胞ネットワークで計測し、個体レベルと同等の結果を予測できるプロトコル(ソフトウエア)の開発を融合し、少ないサンプルによる高速・低コスト計測を可能とするような、動物実験の代替手段としても極めて有用で産業化の期待も大きい開発テーマである。ハードウェアについては細胞の配列基盤作製技術と電気化学的並列モニタリング技術が完成し、ソフトウエア面においても心筋細胞ネットワークにおいて薬剤応答が検出される等の一定の成果が得られている。最終年度は本事業として達成すべき項目を明確にした上で開発の重点化を行い、かつ必要な知的財産権の権利化を適切に行い医療・製薬分野への早期応用が実現できるよう、積極的に推進すべきである。


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