資料4

開発課題名「先端通信技術を用いた高感度超音波立体視センサ」

(要素技術プログラム)

チームリーダー :  谷口 研二 【大阪大学大学院 工学研究科 教授】
中核機関 :  大阪大学
参画機関 :  (なし)
T.開発の概要
 超音波を繰り返し発生させ、被測定対象物からの反射信号を2次元超音波アレイセンサで受け、コード発生器との位相差を読み取って立体画像の抽出を行う立体視センサを開発する。本方式の実現により、超小型(1cm3以下)で安価(量産時:1,000円以下)な立体視センサを用いた三次元的な距離計測がリアルタイムで可能となり、ロボットの目や車載衝突防止センサ、医療機器などへの応用が期待できる。
U.中間評価における評価項目
(1)マイクロマシニング技術
 圧電素子型の超音波センサとして10μV/Paの感度目標を達成した。
 画像取得の超音波レンズに替わりセンサアレイ方式による方位検索法を検討し、それを組み入れたレンズ代替システムを試作し、立体視が可能であることの検証に成功した。
(2)集積回路設計技術
 ΔΣ変調器、低消費電力オペアンプ、符号多重I/Oインターフェースを開発し、CDMA方式の信号処理システムを確立した。
V.評価
 本課題はNASAで開発されたCDMA方式を応用し、超音波の微弱な反射信号を検出して対象物の距離と方位を計測する技術であり、128×64画素の超音波センサアレイを用いて凹凸分解能1mm以下の立体視を可能とするセンサを実現することが開発目標である。
 中間評価の段階において、信号処理のためのアルゴリズムを開発し、既存のデバイスを組み合わせた超音波立体視センサを試作し、数十cmの距離から数cmの物体の映像を得るという実験に成功し、一応の成果は出ている。しかしながら、開発目標の達成に向けて今後の具体的な対応策、例えば、このセンサの技術的な可能性と有効性、計画書にあるようなこのセンサの適用対象についての具体的展望が示されなかった。
 今後研究を継続することにより新たな展望が開ける期待は持てるが、中間評価時点において開発目標への見通しが明確でないまま、今後の開発を進めることは本事業の主旨に沿っているとは言いがたく、残念ながら本課題においては本事業での継続を見合わせるという苦渋の判断をせざるを得ない。今後、応用面での具体的な目的・目標を模索しつつ、本開発で得た知見も活用し、着実な研究を進められることを期待したい。


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