資料4

開発課題名「X線位相情報による高感度医用撮像技術の開発」

(要素技術プログラム)

チームリーダー :  百生 敦 【東京大学 新領域創成科学研究科 助教授】
中核機関 :  東京大学
参画機関 :  兵庫県立大学
T.開発の概要
 X線位相情報を利用することにより、生体軟組織に低感度な従来のX線透視画像に比べ感度を最大約1,000倍改善したX線撮像技術を開発する。これまでSR光源からのX線を用いた研究を行ってきたが、医療応用などの実用への鍵となる小型X線源の利用が難しいことが問題であった。本開発では、LIGAプロセスで製作するX線回折格子と小型X線源を用いる新しい光学設計が特徴であり、非破壊検査など医療分野を筆頭としたX線画像が関係する分野での質的変革を目指す。
U.中間評価における評価項目
(1)X線タルボ干渉光学系の設計
 シミュレーションプログラムを開発、光学設計を行うツール環境を構築した。
 シミュレータを活用し、必要となる回折格子のパラメタおよび線幅誤差許容範囲を視覚的に把握できるチャートを作成した。
(2)X線マスクの製作
 新規な構造設計によるマスクを開発、基本プロセスを確立し目標値を満足するマスクを作製した。
(3)回折格子の製作
 放射光実験シミュレーションによる構造設計を行い、基本構造設計を完了し、目標値を満足する回折格子を開発した。
V.評価
 従来のX線透視画像に比べ、X線位相情報を利用する本X線撮像技術開発は生体軟組織に対して約1000倍の感度を持ち、医療関係を始めとする生体組織のX線非破壊検査において、質的な変革をもたらす極めて有用なものと期待されている。開発にあたって、既に小型ではあるが回折格子の作製技術を確立しており、シンクロトロン放射光X線源を用いて、開発した回折格子による小動物の様々な軟組織の撮影に成功している。今後は回折格子を大型化し、小型X線光源を用いた測定への展開が課題としてあげられるが、汎用性の高い撮像技術を期待でき、開発目標達成に向け着実に推進すべきである。


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