資料4

開発課題名「ナノフォーカスX線源とナノトモグラフィーの開発」

(要素技術プログラム)

チームリーダー :  北 重公 【名古屋工業大学大学院 工学研究科 教授】
中核機関 :  名古屋工業大学
参画機関 :  株式会社東芝
東京大学
T.開発の概要
 デバイスの積層構造を観察・解析する手法の開発は、半導体産業において緊急の課題である。また、生体細胞内部の微小領域可視化は生体機能の解明に不可欠である。これらの課題への決定策となるのは“微細構造三次元可視化”であり、このための電子スキャン型「高輝度・極微小焦点型X線源」を開発し、次いでそれを基幹要素とする微細組織X線断層撮影法(仮称:ナノトモグラフィー)の開発を目指す。
U.中間評価における評価項目
(1)マイクロCNTエミッタのエミッタ形状と電子放出能力に関する基礎評価
 ベストデーターとして先端直径が3ミクロン、電子放出能力が100μAのCNTエミッターの試作に成功した。但し、安定的な作製ができず歩留まりが悪い。
(2)電子ビーム収束特性
 電流輸送率10%を確保した上で、ビーム直径500nmを達成するための収束系を試作中(年度内に完成見込み)である。
(3)管球構成パーツ適用特性評価
 動作時真空度3×10−6Pa以下で連続運転800時間を達成した。
V.評価
 本課題は、カーボンナノチューブ(CNT)を使用したマイクロCNTエミッターを開発して、10nmの焦点径を有するX線源を開発し、ナノスケールのトモグラフィーを実現することが開発目標である。
 中間評価の段階において、マイクロCNTエミッター自体の性能が充分確保されておらず、また、そこからの収束電子ビームがターゲット金属に衝突してX線を発生する過程における局部的温度上昇や発生X線の焦点径などに関し定量的理論計算の結果が示されなかった。その一方、プロトタイプに繋がる電子ビーム収束・測定機の試作については計画通りに進捗しており評価できることから、前述の指摘事項について結果を提示するとともにその検討結果を踏まえ、焦点径の最適な目標値の再設定や、焦点走査型に目標を絞りこむなど開発計画を見直し、効率的、効果的に開発を進めるべきである。


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