尊厳ある暮らしと寄り添うケアを支えるシステム開発

2025年度 文部科学大臣賞
団体名:リガード(千葉大学大学院看護学研究院雨宮研究室、
株式会社アイ・メデックスホールディングス、
医療法人社団千葉いずみ会 泉中央病院)
解決したい社会課題
- 入院患者の身体拘束を減らし、尊厳ある認知症ケアを実現したい
- 身体拘束を減らしても、医療現場の負荷を増やすことなく安全で適切な治療を実現したい
取り組み内容
日本は世界でも類を見ない超高齢社会を迎えており、認知症を含む認知機能の低下を伴う高齢者の急増が医療・介護現場に深刻な影響を及ぼしている。特に治療や安全確保のために行われる身体拘束は、患者の尊厳を損なう行為として国内外で問題視されている。2024年度の診療報酬改定では身体拘束の最小化体制が義務化されたものの、約6割の病院・施設で身体拘束ゼロを達成できておらず、現場では患者の尊厳と安全の間で葛藤が続いている。
この取り組みでは、身体拘束の大きな要因である認知症高齢者による点滴や経管チューブ等の自己抜去に着目し、チューブ周囲の接触をリアルタイムに検知・通知するシステム(特許取得済)を開発した。開発は看護学・工学・医学などの研究者、看護師、企業、デザイナーなどの連携で行われ、現場での試用と大学での改良を繰り返す「循環型開発」を推進している。このシステムを使用した臨床研究では、システムを使用しない場合には身体拘束を解除することが難しい一方で、システムを使用すると身体拘束解除時間が440分(調査時間480分中)に延長される、合計70時間以上の使用でわずか2件の誤報という高い精度を示す、など患者の自由時間の確保や、身体拘束を避けるために治療を断念せざるを得なかった患者への適切な医療の提供を実現可能とする成果をあげている。
今後は、事業化への体制整備や国内各地への展開を進めるとともに、国際特許の申請など国際的な展開にも注力していく予定であり、患者の尊厳を守り介護者や医療者の心理的・身体的負担をも軽減する包括的ケアモデルを構築し「人生の最期まで尊厳が守られる社会」の実現を目指している。
わたしたちの取り組みについて(受賞団体より)
医療者は身体拘束を望んでいませんが、安全のためやむを得ず行う必要がある場面があり、患者さんやご家族にも大きな負担となっています。現状の解決策は「誰かが見守り続ける」ことで、これは持続可能とは言えません。そこで私たちは科学技術で新たな選択肢を生み出すため、看護理工学研究者・医療現場・企業が連携し、現場を確実に支えるシステム開発を進めています。現場のサポートをすることで、患者さんにより良いケアを提供することができると考えています。
取り組みについてのお問い合わせ先
- メールにてお問い合わせください[千葉大学]
amemiya-a★chiba-u.jp
※お問い合わせの際には★を@に変えてください。





