JST戦略的創造研究推進事業CREST/さきがけ「ゲノムスケールのDNA 設計・合成による細胞制御技術の創出」領域進捗報告会にて、「ゲノム倫理」研究会メンバーによるオンラインセミナーを開催し、「ゲノム合成」領域で取り組む研究開発に関する ELSI 論点の予見や対応、RRI の取り組みのあり方について議論を深めています。
- 第1回 四ノ宮成祥(防衛医科大学校 学校長)
「ゲノム関連技術のバイオセーフティ・ セキュリティとデュアルユース」 - 第2回 松尾真紀子(東京大学 公共政策大学院・未来ビジョン研究センター 特任准教授)
「新興技術の社会影響とそのガバナンスについて-ELSIを接点とした連携に向けて-」 - 第3回 田川 陽一(東京工業大学 生命理工学院 教授)
「研究者から見たデュアルユースや倫理問題ーマイクロ流体デバイスによる人工生命モデル研究事例からー」 - 第4回 神里 達博(千葉大学 大学院国際学術研究院 教授/総合国際学位プログラム長)
「ELSI誕生の背景」 - 第5回 横野 恵(早稲田大学 社会科学部 准教授)
「ヒトゲノム研究と社会」 - 第6回 中村 嵩裕(九州大学 農学研究院 教授)
「PPRタンパク質を利用したDNA/RNA操作技術の開発、および事業化」
第1回 四ノ宮成祥(防衛医科大学校 学校長)
「ゲノム関連技術のバイオセーフティ・ セキュリティとデュアルユース」

四ノ宮成祥
防衛医科大学校 学校長「ゲノム関連技術のバイオセーフティ・ セキュリティとデュアルユース」
ゲノム関連技術は、世界中のほとんどの国が署名している生物兵器禁止条約の文脈から、善悪デュアルユース性が軍民デュアルユース性を包摂する形になっている。研究者や政策立案者を含む多くのステークホルダーは、この点をよく理解した上で、合成生物学やゲノム編集技術を含むゲノム関連技術の動向を把握し、ELSI(倫理的、法的、社会的問題)の観点から研究開発のあるべき方向性を考える必要がある。技術は安全でより良い社会構築のために使われてこそ真の価値を発揮するのである。
第2回 松尾真紀子(東京大学 公共政策大学院・未来ビジョン研究センター 特任准教授)
「新興技術の社会影響とそのガバナンスについて-ELSIを接点とした連携に向けて-」

松尾真紀子
東京大学 公共政策大学院・未来ビジョン研究センター 特任准教授「新興技術の社会影響とそのガバナンスについて-ELSIを接点とした連携に向けて-」
技術の社会導入においても、研究開発ファンドを取るうえでも、ELSI対応の検討が大事といわれますが、なぜ大事なのか、研究開発者が関心を持つべき理由をお話ししたうえで、ではどうやって実践したらよいのか、そのヒントになりそうな事例を紹介します。ELSI対応の検討に「正しい」実践方法はありませんが、自然科学系と社会科学系の連携を起点とした多様なステークホルダーによる連携事例の蓄積による試行錯誤が求められていると思います。
第3回 田川 陽一(東京工業大学 生命理工学院 教授)
「研究者から見たデュアルユースや倫理問題ーマイクロ流体デバイスによる人工生命モデル研究事例からー」

田川 陽一
東京工業大学 生命理工学院 准教授「研究者から見たデュアルユースや倫理問題ーマイクロ流体デバイスによる人工生命モデル研究事例からー」
あたりとは思わず少数派が意見を言えるような環境と感情的にならない客観的な議論をすることが科学なのではないかと思ってます。科学は難しい方程式や化学反応式を理解することではないです。
第4回 神里 達博(千葉大学 大学院国際学術研究院 教授/総合国際学位プログラム長)
「ELSI誕生の背景」

神里 達博
千葉大学 大学院国際学術研究院 教授/総合国際学位プログラム長「ELSI誕生の背景」
最近は日本でも、ELSIという言葉がかなり一般的になりました。この概念のルーツは、20世紀の米国にあります。なぜこのような思想と実践が生まれたのか。それは米国の科学者、倫理学者、政治家、ジャーナリスト、法律家など、さまざまな人々が、差別や偏見と闘う過程で生まれてきたものです。私たちが今、その出発点を確認しておくことも、重要なことだと考えます。
第5回 横野 恵(早稲田大学 社会科学部 准教授)
「ヒトゲノム研究と社会」

横野 恵
早稲田大学 社会科学部 准教授「ヒトゲノム研究と社会」
日本では過去に,子孫に遺伝する(と考えられていた)障害・疾患やその当事者に対する差別的取り扱いが国によって政策的に行われていました。
第6回 中村 嵩裕(九州大学 農学研究院 教授)
「PPRタンパク質を利用したDNA/RNA操作技術の開発、および事業化」

中村 崇裕
九州大学 農学研究院 教授「PPRタンパク質を利用したDNA/RNA操作技術の開発、および事業化」
さきがけ「RNAと生体機能」(2006~2009)で取り組んだ、植物のみで大きなファミリーを形成するPPR(pentatricopeptide repeat)タンパク質の配列特異的なRNA/DNA認識機構の解明、同技術シーズを基にしたベンチャーでの事業化を通して得た学びについて、外部環境、技術、ビジネス戦略、資本政策、人材、実績・ブランド力、ELSI含む人文科学系との価値観のすり合わせの観点、を中心にご紹介いたします。