【フォローアップ】『未来創生塾』~持続可能なまちづくりを目指す教育プログラム~

平成30年度成果発表会
開催日:2019年(平成31年)3月23日(土)
会場:桐生市市民文化会館スカイホール(群馬県桐生市)

「地域力による脱温暖化と未来の街-桐生の構築」プロジェクト(平成20年度~平成25年度実施)
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RISTEXでは領域等の終了後、成果の継続や展開を目指して「フォローアップ」を行っています。その一環として今回は、『地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会』研究開発領域平成20年度採択の、「地域力による脱温暖化と未来の街-桐生の構築」プロジェクトに伺いました。

実施期間の5年間、プロジェクトでは、研究開発拠点だった群馬県桐生市の産学官民が一体となり、電動コミュニティバスの運用をはじめとして、地域で持続できる脱温暖化対策に取り組みました。その一環として生まれたのが、教育プログラム『未来創生塾』です。
当初数組の親子から始められた活動は、プロジェクト終了から6年を経て、桐生市全体を捲き込んだ大きな取り組みに成長しています。

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養蚕・製糸で知られる桐生の文化会館は、屋根も繭型。小学生から高校生までの「塾生」のみなさんが、今年一年の成果を発表する会場「スカイホール」は、眺めのいい最上階にあります。
400人収容の大きな会場に、塾生とそのご家族を中心に、参加者が集まってきました。「塾生」のごきょうだいらしき就学前の子どもたちから、プログラムを一緒に推進していただいている地元の商工会や大学関係者、自治体職員のかたまで、幅広い顔ぶれです。

小学一年生も堂々の成果発表!
毎年ステップアップする子どもたち

未来創生塾は、年間約80回の体験学習型のメニューを提供し、子どもたちとその保護者が一緒に参加し、学び、考えていくことを重視したプログラムです。
「塾長」である宝田先生のご挨拶のあと、さっそく塾生による、今年一年間の活動の成果報告が始まります。小学生から高校生まで、「本日のメンバー」にぎっしり並ぶその数25名。といっても、これが塾生全員ではありません。単独で今回の成果を発表するのが25名で、平成30年度は総勢308名が塾生として登録していました。
「塾生」は実年齢や学年に関係なく「1年、2年、院生、独立専攻科」とステップアップしていきます。発表内容は、毎月3~5回開催される、『未来創生塾』のさまざまなプログラムでの体験をベースにしています。
面白いことに、同じプログラムを受講しても、文化的背景に着目する塾生もいれば、仕組みや原理を調べてみる塾生、新たなアイデアを根拠とともに提案する塾生もいます。ひとりひとりの興味の方向性や得意な事柄が、くっきりと反映される成果発表。知識だけではない「体験型」の学びの魅力は、こんなところにもあるのかもしれません。
さらに興味深いのは、1年、2年と「塾生としての学年」が上がるごとに見て取れる、発表内容の深化です。初年度は「報告」として発表をまとめる塾生が多いのですが、やがて「分析」や「考察」が加わり、さらに「仮説」「調査」「実験」へ。独立専攻科は、自分で研究テーマを決めるところから取り組みます。

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演壇からぎりぎり頭が覗く小学校低学年の発表者も、PowerPointできちんとした資料を作成し、発表を行います。また口頭発表だけでなく、会場の一角には作品の展示スペースが設けられ、塾生の作品が展示されていました。なかには、大人も舌を巻くほど掘り下げた内容の作品も混じっています。
お昼は隣室へ移動し、お食事会となりました。

運営を支える保護者会も結成
次年度は全国展開を目指す

懇親会を兼ねた昼食会では、「塾生」の保護者のみなさんが、会場の席をつくり、お弁当を並べ......と動き回ってくださっていました。『未来創生塾』は、産学官民が一緒になって推進しているプログラムなのですが、「民」にあたる塾生やその保護者のかたがたがたいへん積極的で、「これは桐生の土地柄の特色ではないか」と伺ったことがあります。
今回はなんと「保護者会」の結成宣言がありました! 「塾の運営を、少しでもお手伝いできれば」とご謙遜ですが、以前からご担当いただいている運営業務に加え、会計や書記の担当者も紹介され、既に本腰を入れて取り組まれている様子です。

午後の発表でトリを務めたのは、独立専攻科の3グループでした。「国際化グループ」は、県外・海外から人を呼び込み桐生をPRすることを企画。「桐生のみらい米グループ」は米づくりに取り組み、ブランド化を試みています。「広報グループ」は塾生向けのニュースレターを発行中で、平成31年度からは外部への発信も試みる予定です。
どのグループも、初年度ゆえに思うようにいかなかった部分は多いようですが、既に分析を終え反省点を抽出し、次年度の改善策を考案していました。世界に通用する人材として子どもたちを育てる、その目的でスタートした活動はいま、逆に子どもたちが地域を育て牽引する姿を見せ始めています。

ところで、ひとりずつご紹介してはいませんが、会場にはたくさんの「大人」の姿もありました。地元企業から、教育委員会から、他市の自治体から......「お招きしてのご列席」ではありません。未来創生塾の活動や塾生たちの発表を「面白い」と感じ、何度も足を運んでくださっているかたばかりです。
産学官民が手を携えて取り組む教育プログラムは、子どもたちを育てるだけではなく、大人たちをも活性化させています。
「この活動を、全国、いや全世界へ展開できないか」
宝田先生は、閉会式でそうコメントされました。

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【成果発表会に続いて、一年間の修了証授与式が執り行われました。一年間子どもたちとタッグを組んできた保護者のかたも一緒に名前を呼ばれ、修了証を受け取ります。閉会後は、ステージの前で記念撮影をする姿も。

平成31年4月、子どもたちに地域の誇りを伝え、「住み続けられるまちづくり」を目指す『未来創生塾』は、新たに59名の入塾生を迎え、総勢288名でスタートを切りました。

令和元年、RISTEXでは終了プロジェクトの活動を「フォローアップ」としてレポートしていきます。

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修了証授与式で保護者会から花束を贈られる、未来創生塾塾長の宝田恭之氏(写真右・群馬大学理工学府 特任教授)と副塾長の小島由美氏(写真左・群馬大学理工学府 宝田特任教授付秘書) 
「同じことを続けるのはキライ。来年はまた新しいことをやりたい!」と、楽しそうな宝田先生でした。

※所属・役職は、取材当時のものです。
(文責:RISTEX広報 公開日:令和元年6月13日)