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戦略的創造研究推進事業(CREST) イノベーション創発に資する人工知能基盤技術の創出と統合化 令和2年度開始の加速フェーズ研究課題決定について

2020年03月23日

戦略的創造研究推進事業(CREST)

http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/

戦略的創造研究推進事業(CREST)「イノベーション創発に資する人工知能基盤技術の創出と統合化」研究領域におきましては、令和2年度開始の加速フェーズ研究希望者に対し審査会を実施し、加速フェーズ研究課題を次の通り決定いたしましたのでお知らせ申し上げます。

  氏名 所属 役職 研究課題名 ビジョン
1 田中 聡久 東京農工大学
大学院工学研究院
教授 多施設大規模脳波データによるてんかん診断支援AIの構築 多施設脳波データベース、専門家の知識、そして信号処理・機械学習技術を融合したプラットフォームを構築する。これにより世界中の人が等しく最良の生理機能検査を受け「脳の病気」の診断を的確に受けられるようにする。
2 松谷 宏紀 慶應義塾大学
理工学部
准教授 オンデバイス学習技術の確立と社会実装 オンデバイス学習と周辺技術、その集積回路化によって、エッジAIの裾野をセンサデバイスまで押し下げ、自律的で環境変動に強いインテリジェンスを実現し、産業機器の自動化と安心安全化を進め、高度に最適化された社会システムを実現する。
3 諸岡 健一 九州大学
大学院システム情報科学研究院
准教授 3D画像認識AIによる革新的癌診断支援システムの構築 これまで目視に頼っていたがん細胞診断を、細胞の3次元形状計測とデータベース構築および診断の機械学習により自動化する。これにより、高速・高精度ながん細胞診断支援システムを開発し、世界中の誰もがどこでもがん診断を受けられる社会を実現する。

ビジョン:研究実施にあたり、各研究チームが実現したい社会や解決したい問題などを100字程度で簡潔に表現したものです。

(五十音順に掲載)

<総評> 研究総括:栄藤 稔 (大阪大学先導的学際研究機構 教授)

当研究領域では、ICT分野において研究成果のスピーディな応用展開を目指すため、総額 7.5 千万円以内/2年6ヶ月のスモールフェーズとして公募し、このスモールフェーズの研究成果をベースに追加で3億円以内/3年の研究を行う加速フェーズの研究課題を再提案してもらう融合加速方式を採用しています。そこで、令和1年度にスモールフェーズが終了する課題から、加速フェーズの提案を募りました。研究総括が10名の領域アドバイザーと、井上大介(情報通信研究機構サイバーセキュリティ研究室 室長)の1名の外部評価委員の協力を得て、提案書類と面接による審査にこれまでの研究進捗内容も加味し、厳正かつ公平に審査を行いました。

選考にあたっては以下の基準に基づいて判断しました。CREST終了後に実現されるイノベーションに向けて、明確かつ適切な課題設定をしている提案、統一されたビジョンの下で高い実行力を持つ研究チームによる提案等を高く評価しました。どの提案も魅力的で非常に悩ましい選考となりましたが、最終的に上記の3件を対象課題として選定しました。

加速フェーズの対象とならなかった研究課題からも、重要な社会課題の解決に貢献する成果や学術的意義の高い成果が出てきています。残念ながら当研究領域として支援の継続はできませんが、それぞれの目標に向けてより一層活躍されることを期待しています。

<審査基準>

【戦略的創造研究推進事業共通の選考基準】

  • 戦略目標の達成に貢献するものであること。
  • 研究領域の趣旨に合致していること。
  • 独創的・挑戦的なアイデアに基づく提案で有り、国際的に高水準の発展が将来的に見込まれる研究開発であって、科学技術イノベーションの創出につながる新しい価値の創造が期待できること。
  • 以下の条件をいずれも満たしていること。
    ・研究遂行のための研究実績を有していること。
    ・最適な研究実施体制であること。研究提案者がチーム全体を強力に統率して責任を負うとともに、主たる共同研究者を置く場合は研究構想実現のために不可欠であって、研究目的の達成に向けて大きく貢献できる十分な連携体制が構築されていること。
    ・研究構想を実現する上で必要十分な研究費計画であること。
    ・研究提案者および主たる共同研究者が所属する機関は、当該研究分野に関する研究開発力等の技術基盤を有していること。

【研究領域独自の追加基準】

  • イノベーションに向けたシナリオが明確であること。(3年後に得られる成果が想像できるか?継続性はあるか?)
  • 産学または学際の異分野の人が集まり、今までにない0から1のイノベーション創出を目指す提案を評価する。これは、AI+IT+OT (Operational Technology:ドメイン技術)の融合を指す。
  • 産業・社会的インパクトの大きな100から120を目指す提案を排除しない。その場合は、20の部分が明確に本CREST成果であり、それ自身もイノベーションとなることが望ましい。
  • 研究チームは明確に定義された課題の解決に向けて統一された編成であること。
    ・イノベーション創出型での提案は、将来の社会実装を見据えて企業と連携した体制を考慮すること。
    ・加速フェーズで取り組む課題は複数でも構わないが、研究チーム全体で解決すべき上位の適切な大きさの課題が共有されていること。
    ・スモールフェーズの結果の上に、新たな加速フェーズの構想を提案することが期待されることから、領域内に限らず、これまでにない外部研究者を見つけて強化することが望ましい。
  • 追加投資の必然性があること。
  • 選考にあたって、領域全体のポートフォリオを考慮する。

以上