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ALCA-SPRING第4回公開成果発表会 開催報告

2019年04月17日

先端的低炭素化技術開発 特別重点技術領域「次世代蓄電池」(ALCA-SPRING)

https://www.jst.go.jp/alca/alca-spring/index.html

CO2全排出量の約10%にあたる自動車の排出量削減と再生可能エネルギーの安定化のために低コストで高性能な次世代蓄電池が必要ですが、現在普及しているリチウムイオン電池のエネルギー密度とパワー密度には限界があるため、革新的な次世代蓄電池の実現が重要です。

先端的低炭素化技術開発事業(ALCA)の特別重点技術領域「次世代蓄電池」(ALCA-SPRING)では、従来の蓄電池の性能を凌駕する革新的な蓄電池の創製を目指し、実用化の基礎・基盤研究を加速するためのプロジェクト研究を推進しています。具体的には、次世代蓄電池の候補となる「全固体電池」、「リチウム-硫黄電池」、「金属-空気電池」、「多価イオン電池」など、現行のリチウムイオン蓄電池の延長線上にはない蓄電池の研究開発を個別材料や要素技術の開発にとどまらず、電池総合システム最適化研究を重視して行っています。40以上の研究機関、80人の研究代表者が属する、極めて大きな研究プロジェクトです。

平成31年4月17日に、これまでの研究開発成果を広く公開する「ALCA-SPRING第4回公開成果発表会」がJST東京本部別館で開催されました。硫化物型全固体電池、酸化物型全固体電池、リチウム-硫黄電池、金属-空気電池、マグネシウム二次電池について、チームリーダーまたはサブチームリーダーから発表が行われ、企業を中心に約100名もの多くの方々にご参加いただきました。次世代蓄電池の研究開発への大きな期待がうかがえました。

10年の研究開発期間の半分が経過し、研究開発成果の実用化を目指した取り組みにも力を入れております。平成30年4月には、特に研究進捗の著しい硫化物型全固体電池について実用化を加速するため、当該サブチームの応用開発部分を経済産業省所管の国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の先進・革新蓄電池材料評価技術開発(第2期)に技術移管し、また空気電池についても本プロジェクトの成果を基に民間企業との共同開発がスタートしています。引き続き、より多くの研究開発成果が実用化に向けた展開に結びつくよう活動しているところです。

後半の研究開発期間でも、電池に仕上げるという視点に基盤をおいた材料研究を推進し、用途を特定して求められる電池の仕様を定め、いくつかのプロトタイプ電池を作製して試験を行う―こうした地道な研究開発を進め、種々の革新的な電池を社会に送り出したいと思います。