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国連ハイレベル政治フォーラムに中村道治顧問が出席

持続可能な開発目標(SDGs)への科学技術イノベーションの貢献 https://www.jst.go.jp/sdgs/index.html

2018年7月9-18日に国連本部(米国・ニューヨーク)で開催された、第3回ハイレベル政治フォーラム(以下、国連HLPF)に中村道治 科学技術振興機構(JST)顧問が出席しました。国連HLPFは、2015年に採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の進捗状況を国際的にレビューする場として、毎年7月に開催されています。今年は、SDG6(水)、7(エネルギー)、11(都市)、12(生産と消費)、15(陸の豊かさ)、17(パートナーシップ)の各目標に関して進捗や今後の課題等が共有され、後半の7月16日からは46カ国の代表より各国の取り組み状況が発表されました。

今年の国連HLPFには、国連機関やメジャーグループ(※1)、各国政府機関や教育・研究機関、企業等から2200名以上が参加し、125カ国以上から閣僚級も登壇するなど、6月の国連STIフォーラム(※2)よりも圧倒的に参加人数も多く、地域バランスも多様性に富んでいました。また、国連HLPF開催期間中は、メイン会場だけでなく、国連内および近隣の各国代表部の会議室等で250以上のサイドイベントが開催されました。

2016年からSDGsの取り組みが始まって2年半が経ちましたが、今回の国連HLPFでは、SDG6(水)、7(エネルギー)、11(都市)、12(生産と消費)、15(陸の豊かさ)のすべての目標について、このままでは2030年までに目標を達成できないとの結果が国連統計局より示されました。再生エネルギーの普及などは少しずつ進展していますが、地球温暖化の影響や自然災害の多発により、水不足・都市のスラム化など課題も深刻化していることなども指摘されました。

科学技術イノベーションに対しては、国連STIフォーラムの共同議長である星野国連日本代表部次席大使とサンドバル・メキシコ次席大使より、SDGsの達成に向けた科学技術イノベーションの役割、特にSTI for SDGs roadmapsの必要性、オンプラットフォームの立ち上げ、Rapid technological change(AI・ICTなど急速な技術革新)の社会への影響について報告しました。

また、今年初めて開催された”Local and Regional Government Summit”では、ベルリン市、バルセロナ市、キト市(エクアドル)、北九州市など都市の首長、地域連合の関係者ら最大300名強が集結し、都市や地域がSDGsを実施する現場であるとともに、国際および国家レベルのSDGsの達成度やレビューに関与していくことを提言しました。

さらに、SDGビジネスフォーラムでは、中小企業から多国籍企業のCEOやCSR部門、経済団体(日本は経団連)、NGO、加盟国代表部や国連機関等から総勢500名強が参加し、環境に配慮しつつ、新たな価値・市場・雇用を創り出すことがSDGsの達成に不可欠であり、企業がその役割を担うことを共有しました。

7月17日には、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)ほかが主催するサイドイベントに中村顧問が登壇し、SDGsの達成にために科学技術イノベーションを推進する人材の育成が不可欠であり、政策、研究機関、教育機関、企業等が位相的に協働するために具体的な活動等を議論し実施していくことを提案しました。

今回の国連HLPFでは、これまでの取組の延長では2030年までにSDGsを達成することは困難であり、SDGsを共通言語に、国連機関や加盟国の政府だけでなく、市民団体、企業、自治体、教育・研究機関等が協働して変革を起こすことが急務と認識されました。そのためにも、SDGsの社会的に認知度の向上や、新たな取組を推進していくことが求められています。

※1 国連メジャーグループは、持続可能な開発を達成するための国連の動きに全ての市民が参加できるように構成された、9つのセクター別グループ(「女性」「子ども・若者」「農業者」「先住民」「NGO」「自治体」「労働組合」「科学・テクノロジー」「ビジネス・産業」)のこと。

※2 STIフォーラムは、マルチステークホルダーが集まり、科学協力やイノベーション、人材育成などの取り組み事例を共有することで、開発・SDGsの達成に向けて課題となる技術の壁とそのギャップを明確にしていくことを目指しています。


国連HLPFの会場の様子


国連HLPFのサイドイベント(2018年7月17日)にて
中村顧問が10人委員会メンバーとして登壇