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「第9回 SIPインフラ社会実装促進会議 社会インフラのマネジメントにイノベーションを―新技術導入への挑戦―」を開催しました(SIPインフラ維持管理・更新・マネジメント技術/インフラメンテナンス国民会議 共催)

SIPインフラ維持管理・更新・マネジメント技術 https://www.jst.go.jp/sip/k07.html
インフラメンテナンス国民会議 http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/im/

平成30年2月8日(木)、TKP市ヶ谷カンファレンスセンターにおいて、「SIPインフラ維持管理・更新・マネジメント技術」(以下、SIPインフラ)及び「インフラメンテナンス国民会議」(以下、国民会議)の共催による公開シンポジウムを開催しました。

SIPインフラ(プログラムディレクター(PD):藤野 陽三 横浜国立大学 先端科学高等研究院 上席特別教授)では、道路・鉄道・港湾・空港などの社会インフラの維持管理に関わるニーズと技術開発のシーズとのマッチングを重視して研究開発を推進しており、プログラム期間中に、インフラ管理者が「使いたくなる技術」を開発し、実証実験を行った上で、広く社会実装することを目指しています。

インフラメンテナンス分野で生まれつつある技術開発成果を普及していくため、技術開発側においては使いやすい魅力的な技術・サービス化に向けた更なる取組が必要であり、同時に、施設管理者側においては新技術の試行・導入に取り組みやすい道筋づくりが求められております。最終年度を目前に控えた今回の会議では、SIPインフラなどの新技術の現場導入について、技術開発、導入、場の提供に取り組む研究開発側・施設管理側のそれぞれの立場から、現状や課題を紹介いただくこととしました。

会議前半では、藤野PDの開会挨拶及びSIPインフラ全体状況の説明に続き、慶應義塾大学の大林厚臣教授、(株)価値総合研究所の井上陽介主席研究員より、新技術のビジネス化のために必要なマネジメント手法や各地方のニーズ・実情に応じた技術導入シナリオの提案など、SIPインフラ各開発技術の社会実装に向けた取組状況をご紹介いただきました。

続いて、国土交通省総合政策局の鈴木学 事業総括調整官より、国民会議の設立後1年間の取組状況及び順次活動を開始している各地方フォーラムの設立状況と活動内容、さらに「SIPインフラ地域実装支援チーム」との連携等についてご講演頂きました。また、国民会議近畿本部におけるフォーラム等イベントの開催および実証試験の実施を通じた、自治体等施設管理者のニーズと技術シーズのマッチングを促進する具体的取組と今後の課題について、(一社)国土政策研究会の片岡信之理事からご講演頂きました。

会議後半では、施設管理側の立場から、各自治体における新技術の現場導入の取組内容が報告されました。浜松市の鈴木康二 土木部道路保全課 保全グループ長からは、舗装維持管理の取組状況と舗装点検の可能性、メンテナンスサイクル構築に向けた課題が報告され、品川区の多並知広 防災まちづくり部 道路課長からは、スマートフォン(GPS・加速度センサー)による路面情報のデータ収集技術を用いた区独自の舗装改修計画などの取組が紹介されました。東北地方における産学官連携の取組として、技術開発から社会実装・人材育成までを含むインフラ長寿命化に関する取組現状を、東北大学の久田真 教授/インフラマネジメント研究センター長からご講演いただくとともに、山形県の工藤重信 県土整備部道路保全課 道路メンテナンス・市町村道専門員からは、橋梁の点検・診断・措置の情報を一括して管理するシステム「DBMY(山形県道路橋梁メンテナンス総合データベースシステム)」の導入と今後の課題について、また、県内での社会経済システムを支えるインフラ維持管理システムの開発と実装について、鳥取県の藤井優 県土整備部技術企画課 課長補佐にそれぞれ話題提供を頂きました。いずれも、各地域が抱える固有の課題があり、新技術導入にあたっては、これら課題を踏まえた取組の重要性が指摘されました。

最後の全体討議では、各地域のニーズに対応した新技術の社会実装の進め方、国・地方自治体・民間企業・大学等研究機関・国民会議及びSIPインフラ、それぞれが果たすべき役割等について、国土交通省 総合政策局 安原達 交流連携事業調整官の司会のもと、藤野PD及び各登壇者によるパネルディスカッションが行われ、その後フロアの一般参加者も交えた活発な議論が交わされました。大ホール・増設会場を合わせた定員400名に達するほどの満員の参加者のもと、インフラ維持管理分野の新技術の社会実装促進における技術開発側と施設管理側の協力による具体的取組の方向性について議論が交わされ、新技術の社会実装によるインフラメンテナンス革新の可能性とその道行きを示す会議となりました。

SIPインフラは、今後とも、府省庁及び国民会議との連携をさらに強化するとともに、地域実装支援チーム・国民会議地方フォーラムを通して各地方自治体と密接な協力関係の構築を進め、各地域の実情・ニーズに応じた新技術の社会実装・実用化を一層推進してまいります。