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CREST「第4回JST-NSF-RCN国際合同ワークショップ」開催
2017年06月12日~06月14日 秋葉原

CREST/分散協調型エネルギー管理システム構築のための理論及び基盤技術の創出と融合展開  https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/research_area/ongoing/bunyah24-1.html

JST-CREST「分散協調型エネルギー管理システム構築のための理論及び基盤技術の創出と融合展開(EMS:Energy Management System)」領域(研究総括:藤田政之 東京工業大学教授)では、NSF(National Science Foundation:米国国立科学財団)、RCN(The Research Council of Norway:ノルウェー研究会議)と共同で秋葉原において、合同ワークショップを開催しました。このワークショップは、米国ハワイ州、米国バージニア州、ドイツ ハイデルベルクで開催した国際合同ワークショップに続く第四回目の開催で、当該分野での共同研究の進捗や課題を報告し、更に各国研究者の新たなネットワークの構築を目的としたものです。米国19名、ノルウェー8名、ドイツ1名、イタリア2名、中国1名、日本からはCRESTの研究者を中心に約110名の参加があり、総勢140名に上る盛大なワークショップとなりました。

開会挨拶では、JSTの後藤理事より、過去3回の実りあるワークショップを通じて多くの共同研究が促進されたこと、今後も、これまでにない新たな理論やシステムが求められており、そのためには、異分野連携や国際連携が有効であるとの考えが示されました。

開会セッションでは、藤田JST CREST研究総括、バヘティNSFプログラムディレクター、グランダム ノルウェー王国大使館 科学技術参事官より、このワークショップの目的や期待について発表がありました。過去3 回のワークショップで築いたネットワークをさらに進め、社会における実課題であるエネルギー問題を解決すべく、より一層の国際連携により成果を出していくことが共通の認識となりました。

基調講演では、カルゴネッカー カリフォルニア大学アーバイン校副学長が、再生可能エネルギーのトレンド、今後100%の導入を目指すための課題や将来像について発表がありました。

口頭発表においては、CRESTの研究チーム毎のセッションや若手研究者のセッションが設けられました。研究チーム毎のセッションでは、研究代表者である井村教授、内田教授、鈴木教授、中島教授、林教授がそれぞれ、これまでの研究内容や国際連携の進捗および課題について講演を行いました。例えば、林教授の研究チームは、トムソビック教授(テネシー大)の研究グループと連携し、米国送電網モデルと日本配電網モデルとを相互にリンクさせて、日米送配電ネットワークモデルを世界で初めて構築して、これまで実現できなかった送電線事故時において、送電網の電圧品質低下と配電網の電圧品質低下を同時に解消できることを理論的に明らかにした。

アメリカからもロテア教授(テキサス大学ダラス校)、他10名、ノルウェーからはボイエ リサーチマネージャー(ノルウェー産業科学技術研究所)、他4名、ドイツから1名の発表があり、研究内容、国際連携の進捗や課題について講演を行いました。また、若手研究者のセッションでは、日本から5名、米国から4名の発表が行われ、またポスター発表では、日本から20名、イタリアから2名、中国から1名の発表が行われ、活発な議論が行われました。

国際共同研究のベストプラクティスを議論するオープンディスカッションでは、国際協力を続けるためには、学生や若手研究者の継続的な交流などのサポートや、実際の国際共同研究へのより大型の研究支援が必要であること、また国際協力のインパクトを評価するメカニズムを検討する必要性などが議論されました。また、各国が現在直面している問題を議論することや、各国が持っているデータを共有する可能性などについても議論が広がりました。

閉会のセッションでは、JSTの中村顧問や各国代表により、今回のワークショップにおいても非常に活発な議論が行われ、これまでの4回のワークショップの成果と合わせ、多くのネットワークや国際連携が構築されてきたこと、今後もより一層の国際協力を続けていくために、各機関も引き続きサポートを行っていくことをなどが表明され、2日間にわたるワークショップを終了しました。

また、ワークショップの翌日には、早稲田大学新宿実証センター、東芝研究開発センターを訪問し、HEMS(Home Energy Management System)の実験設備や電力系統模擬シミュレータ、及びスマートビルを見学し、プロジェクト担当の研究者らとの活発な議論を行いました。

これまでの4回のワークショップの成果を継続し、今後も引き続き、各国のファンディング機関の支援を通して、国際連携をより進めることにより、分散協調型エネルギー管理システム分野における研究が更に加速することが期待されます。