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2017AAAS年次総会にて、ブース展示とシンポジウム「Global Conference Start-Ups: Inclusive Science and Society Engagement」を共催
2017年02月16日~20日 ボストン(米国)

科学コミュニケーションセンター https://www.jst.go.jp/csc/

2月16日から5日間、米国ボストンにて、米国最大規模の国際科学フォーラムである「米国科学振興協会(AAAS)年次総会」が開催されました。 AAAS年次総会は毎回展示とセッションで構成されており、JSTはブース出展と、南アフリカ政府の科学技術省(DST)と共催してシンポジウム「Global Conference Start-Ups: Inclusive Science and Society Engagement」を開催し、SDGs検討チームによるセッション(JSTトピックス参照)を主催しました。

シンポジウムでは世界の科学オープンフォーラム(ユーロサイエンスオープンフォーラム(ESOF)、南アフリカ科学フォーラム(SFSA)、中南米カリブ海オープンフォーラム(CILAC)、世界科学フォーラム(WSF)、AAAS及び日本のサイエンスアゴラ)といったフォーラム主催者などが、今後の科学オープンフォーラムの方向性について熱心に議論しました。 「多様なステークホルダーと共に科学技術を考えたい」という課題に関しては、どのフォーラム事務局も知恵を絞っています。南アフリカのナレディ・パンドール科学技術大臣は、国家的な優先課題である貧困や不平等を科学技術の力で乗り越えたいとする姿勢を以前から強調しており、「国家的優先課題」の観点からトランプ大統領が「アメリカファースト」を掲げることに一定の理解を示しつつも「貧富の差などは各国が抱える世界的な問題でもあり、様々な国が協力していくことが大切だ」と述べていたのが印象的でした。

展示エリアでは大学などによるブースやポスターが並び、ポスター企画には高校からの参加もありました。JSTブースはエリアの角にあって人目に付きやすく、期間中は昨年を大幅に上回る700人以上が訪れ、来場者が途切れることはありませんでした。 写楽の浮世絵とゴッホの油画の高精細複製画(東京藝術大学COI拠点)の展示に足を止める人も多く、ボストン市の日刊紙「The Boston Globe」のツイッターで「話題の展示」として紹介されていました。また、物理学の究極の目標である「万物の理論」をテーマにした、世界初の3Dドーム映像作品「9次元から来た男」(日本科学未来館企画・製作・著作)を長時間鑑賞する人の姿も見られました。 実際に触れられる、目に見えるモノがあるとコミュニケーションが成立しやすく、具体的な成果からJST全体の活動を紹介できている印象でした。今後、JSTとして国際的に何をアピールしていくのか、国際的な共同研究をどのようにサポートしていくかが課題となるのではないかと考えます。

今回の年次総会を通して「Story Telling:科学技術の重要さや面白さを科学になじみのない層に伝えるためには、『ストーリー』として語る必要がある」という考え方をたびたび耳にしました。科学コミュニケーションの分野ではしばしば語られてきたことのようですが、政策を理解してもらうためにも、ストーリーで届けながら距離を縮めよう、という意識が強くなっているようです。 AAASでセッションを実施するには厳しい審査をパスする必要があり、「AAAS年次総会」などの国際的な場で、参加者・来場者に「聞いて良かった」と思ってもらえる充実した内容をどのようにつくり込んでいくか、は引き続き重要な課題と実感した5日間でした。

関連サイト


年次総会の主要セッション会場


JST主催のセッションで発表する
濵口道成理事長


JSTのブース
左手前は浮世絵の高精細複製画
日本的な画像に加え香りが付いていることで話題になっていた


AAAS年次総会の展示エリア