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6年ぶり日中女性科学者シンポジウム 女性研究者の役割を議論

中国総合研究交流センター(CRCC)
https://www.jst.go.jp/crcc/


シンポジウムで基調講演する方院長

「日中女性科学者シンポジウム2016 inJapan」が4月6日、JST東京本部別館で開かれました。このシンポジウムは、1992年の第1回以来、日本と中国で計4回開かれてきました。日中関係の悪化でしばらく中断していましたが、日本・アジア青少年サイエンス交流計画(さくらサイエンスプラン)の枠組みの下で、6年ぶりの開催となりました。

中国からの参加者23人の大半は若手の女性研究者。自身の海外留学体験に触れて、交流の意義を強調した濵口理事長の歓迎のあいさつに続き、方新中国科学院大学公共政策・管理学院院長と黒田玲子東京理科大学教授がそれぞれ基調講演を行いました。

方院長の講演で印象深かったのは、中国の抱える問題も隠さず報告していたこと。「1950年代は、男女平等の考え方が強かったが、今は年齢、キャリアを重ねるにつれて男女の差が広がる」と語り、「研究環境の改善」と「女性研究者の意識改革」の必要を強調しました。

午後の研究報告会では、中国科学院院士でもある2人の教授が超薄型半導体とナノザイム(酵素複合体)についてそれぞれ報告し、中国の研究レベルの高さを印象付けました。

日本側最初の報告者は、放射分析および核化学における卓越した業績をたたえる世界最高レベルの賞「ヘヴェシー・メダル賞」受賞が決定した(4月に受賞)中西友子東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授。福島第一原発事故による土壌や農作物への放射能汚染の影響にも触れる幅広い内容でした。自身が発見した脂質が変形性関節症治療薬などに応用できることを紹介した室伏きみ子お茶の水女子大学学長ともども、参加者たちに研究者の社会的責任を考えさせる報告となりました。

参加者たちは富士五湖湖畔に場所を移した翌日の研究発表会でも交流を深め、中国人参加者のほとんどが「非常に満足」という答えを、会終了後のアンケートに寄せました。