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藤井英俊博士が溶接・接合界の最高峰誌である、Science and Technology of Welding and JoiningからBest Paper Award(論文賞)を受賞
2013年11月12日 Institute of Materials, Minerals and Mining (IOM3)


左から藤井教授、共同受賞者のフルヤ金属の宮澤氏、授与者のInstitute of Materials, Minerals and Mining, PresidentのProf. J.G.P.Binner

 JST産学共創基礎基盤研究プログラム 技術テーマ「革新的構造用金属材料創製を目指したヘテロ構造制御に基づく新指導原理の構築」の研究代表者である大阪大学接合科学研究所教授の藤井英俊博士が溶接・接合界の最高峰誌である、Science and Technology of Welding and JoiningからBest Paper Award(論文賞)を受賞し、2013年11月12日に英国ロンドン バッキンガム宮殿近くのInstitute of Materials, Minerals and Mining (IOM3) にて授賞式が行われました。

 受賞対象になった論文は、摩擦攪拌接合(FSW)と呼ばれる溶接とは異なる金属接合技術について書かれたものです。摩擦攪拌接合は、ツールと呼ばれる突起状の工具を用い、材料を溶融することなく固相のまま攪拌し、金属に塑性流動を起こさせることで接合する技術で、接合箇所は溶接より高い強度を有することができます。しかし、従来のツールは高温状態での耐久性が弱く、比較的低い温度で攪拌できるアルミニウム材料への接合にのみ用いられてきました。藤井博士は、このツールの改良を行い、高温時でも優れた特性を有するツールを開発することに成功しました。このツールにより、アルミニウムだけでなく、高温での接合となる鉄鋼材料に対してもこのFSWを用いた接合を適用させることが可能となりました。

 大阪大学接合科学研究所長の片山聖二博士、そして産学共創基礎基盤研究プログラム 技術テーマ「ヘテロ構造制御」のプログラム・オフィサーである東京工業大学教授の加藤雅治博士らは、本研究、および今回の受賞について以下のように評価をしています。

■大阪大学接合科学研究所 所長 片山聖二博士
 「藤井教授と接合科学研究所にとって大変喜ばしい受賞です。本研究は、世界的に注目を集めている鉄鋼材料の摩擦攪拌接合を可能にした点で極めて優れた成果であると思います。この技術によって、これまで困難とされてきた中高炭素鋼の接合も可能になるなど、今後のものづくりの発展に大きく寄与することが期待されます。」

■技術テーマ「ヘテロ構造制御」プログラム・オフィサー 加藤雅治博士(東京工業大学教授)
 「藤井教授とその研究チームはヘテロ構造制御プログラムの研究課題においても、摩擦撹拌接合の3次元可視化や、摩擦撹拌にともなって起こる新規な材料学的現象の解明など、独創性の高い優れた成果を挙げておられます。今回の受賞は私共のプログラムにとっても大変嬉しいことです。藤井チームの研究の益々の発展をお祈りしています。」

受賞対象論文
T. Miyazawa, Y. Iwamoto, T. Maruko, H. Fujii Development of High Strength Ir Based Alloy Tool for Friction Stir Welding
Science and Technology of Welding & Joining, 17,3 (2012) 213-218.