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International Symposium on Wearable Health Care Sensors 開催報告
2013年10月25日(金)パシフィコ横浜

平成25年10月25日、パシフィコ横浜において、国際シンポジウム"International Symposium on Wearable Health Care Sensors" が開催されました。このシンポジウムは兵庫県立大学と東北大学マイクロシステム融合研究開発センターが共催し、ERATO前中センシング融合プロジェクトの研究総括である前中一介 教授(兵庫県立大学 大学院工学研究科)が委員長を務められました。

本シンポジウムは、今後大きなマーケットに拡大することが予想されるウェアラブル・ヘルスケア・センサの現状と将来展望に関して、技術およびビジネスの側面から、欧州、北米、アジアより研究者や企業家をお招きして講演いただき、情報交換の場を提供することを目的として開催されました。当該分野への関心の高さを反映し、産業界を中心にのべ150名の参加を得て、終始会場がほぼ満席となる大盛況のもとで、シンポジウムは成功裏に終了しました。

基調講演では、HST社の大野浩平 社長より、長年にわたる医療機器開発の経験と、それを基にヘルスケア分野での製品化における留意事項等について講演いただきました。

前中一介 教授からは、ERATOプロジェクトで研究開発を進めてきた絆創膏型マルチ生体センサに関する成果と、今後の課題等について紹介が行われました。

その後、スイス・ST Microelectronics社のVirginia Natale氏、フィンランド・Tampere大学のJukka Lekkala 教授、オランダ・imecホルストセンターのValer Pop氏、カナダ・ヨーク大学/シンガポール国立大学のYong Lian 教授、オムロンヘルスケア社の佐藤博則 博士、米Preventice社のAndy Westby氏、大阪大学の前川卓也 准教授より、最新の技術開発や各国でのビジネス展開の状況について講演いただきました。

シンポジウムの最後には講演者全員が登壇してパネルディスカッションが行われました。会場から質問の出た、ウェアラブル・ヘルスケア・センサが直面する技術的課題や、長時間の装着による不快感の有無、ウェアラブル・ヘルスケア・センサの普及に際し何が起爆剤となり得るか、センサによって得られる生体情報の収集に関する各国での法規制の状況、という4つの興味深いテーマについて活発な議論が行われました。世界的に社会の高齢化が進む中、ヘルスケアセンサが普及するには、このデバイスを利用した何らかの制度が国によって設けられることが必要という議論もありましたが、一方で公的な支援を当てにするだけではなく、自らニーズを創出する努力が不可欠だという指摘もありました。また市場においては、ハードウェアに関する最先端の技術が必ずしも求められておらず、ユーザーにとって使い易いデバイスであることが最優先事項であり、使い易さを実証してユーザーのニーズを創出できれば、導入コストも下がり、今後の普及が望めるのではではないかといった議論がなされました。

本シンポジウムでは、ERATO前中センシング融合プロジェクトの研究成果の紹介に加えて、同プロジェクトで研究開発を進めてきたウェアラブル・ヘルスケア・モニタのビジネス展開について、第一線で活躍する各国の研究者・企業家による講演と議論を通じ、国内外の企業等からの参加者に数多くの有益な示唆を提供できたのではないかと思われます。