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「二酸化炭素の利用に向けて」~国際シンポジウムを開催
2013年11月08日 東京大学 弥生講堂一条ホール

JST-CREST・さきがけ「二酸化炭素資源化を目指した植物の物質生産力強化と生産物活用のための基盤技術の創出」(CO2資源化)研究領域(研究総括:磯貝 彰 奈良先端科学技術大学院大学 名誉教授)は、文部科学省グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス事業(GRENE)植物科学分野「植物CO2資源化研究拠点ネットワーク」(NC-CARP)(代表:福田 裕穂 東京大学 副学長・教授)と共同で、公開国際シンポジウムを開催しました。

CREST・さきがけ「CO2資源化」研究領域とNC-CARPは、「CO2資源化」をキーワードとして、いずれも2011年度(平成23年度)に発足しました。「CO2資源化」研究領域は13のCREST研究チームと31名のさきがけ研究者、NC-CARPは11の研究拠点から構成され、植物が二酸化炭素を吸収し生長する力を強化し植物バイオマスを有効活用することによって、地球環境の維持と持続可能な社会の構築に貢献することを目指しています。

今回のシンポジウムは、“Toward the use of atmospheric CO2 - from photosynthesis to biorefinery”(和訳:二酸化炭素の利用に向けて-光合成からバイオリファイナリーまで)と題し、植物が光合成によって二酸化炭素を吸収する分子メカニズムから、植物バイオマスをバイオ燃料やプラスチック等の有用物質に変換する工学プロセスまでを対象として開催しました。CREST・さきがけ「CO2資源化」研究領域とNC-CARPの研究者5名に加えて海外から5名の講演者を迎え、国内外の最先端の研究動向について発表と議論が行われました。

「CO2資源化」に関わる研究分野は理学、農学、工学など幅広く、研究対象も分子から森林までスケールは様々です。シンポジウムでは、講演者がそれぞれに異なる観点から「CO2資源化」への取り組みを紹介するとともに課題点を提起し、専門分野や研究対象の違いを超えて、光合成の効率を向上させることは可能か、安価で高効率に植物バイオマスを生産するにはどのようなブレークスルーが必要か、石油化学製品を植物バイオマス由来製品で代替するために何が求められているのか、などといった議論が参加者を交えて行われました。産官学から220名を超える方々の参加を得て、「CO2資源化」の現状を共有し、今後の研究を共に考える有意義な交流の場となりました。

(JST戦略研究推進部・「CO2資源化」担当 安達澄子)