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第22回酵素工学国際会議(Enzyme Engineering XXII )
ERATO Asano Enzyme Molecule Project Special Session開催報告
2013年9月22日~26日 富山国際会議場

ERATO浅野酵素活性分子プロジェクトの浅野泰久研究総括が大会長を務め、第22回酵素工学国際会議(Enzyme Engineering XXII)が、9月22日(日)~26日(木)に富山国際会議場にて開催されました。酵素工学国際会議は、Engineering Conferences International(ECI)が主催する国際会議の中でも歴史が古く、世界中から多くの酵素工学関連研究者が参加する権威ある会議の1つであり、わが国での開催は実に24年ぶりとなります。

今回の大会は、参加登録者は283名(日本137名、海外146名)、口頭発表が87件、ポスター発表133件と近年に例をみない大盛会となりました。23日、24日午前には、ERATO Asano Active Enzyme Molecule Project Special Sessionとして、世界各国の著名な研究者を招聘し、14の講演を行うなど、非常に質の高い講演と活発な議論が行われました。

ERATO浅野酵素活性分子プロジェクトでも研究が進められている酵素工学は、環境にやさしい物質生産法の基盤となる研究領域であり、化学産業はもちろんのこと、食品、医薬品など様々な産業に活用されており、その重要性は増す一方です。我が国としても国際的競争力の強化が強く求められていることから、世界の研究者と最先端の成果を報告・共有・議論し、酵素工学に関する研究を多面的かつ包括的に進める場とすることを目的として、ERATO Asano Active Enzyme Molecule Project Special Sessionを設けました。

このSpecial Sessionでは、酵素工学における研究者を大学、企業など幅広い領域から招いて行われました。ミネソタ大学のRomas Kazlauskas教授の講演では、先祖酵素の予測と作成、さらに作成された酵素がさまざまな反応を触媒することが報告されました。モントリオール大学のJoelle Pelletier教授の講演では、アミド結合の合成、分解に関与する酵素群の研究について報告され、ファインケミストリーや食品産業、医薬品の合成に応用できると述べられました。また、民間企業からの招待講演者では、ドイツBASF社のKai Baldenius博士より同社で販売する各種光学活性物質や化粧品の生産方法について紹介されました。その他、多彩な講演、積極的な質疑応答が行われ、熱のこもった議論が展開されました。Special Session以外の招待講演や一般講演、ポスター発表においても、活発な議論が行われ、近い将来の酵素による技術革新を予感させる会議となりました。

また、浅野研究総括のThe 2013 Enzyme Engineering Award受賞のほか、同プロジェクトの安川和志研究員が、Poster Competition Honorable Mentionに選ばれるなど、プロジェクトの成果を紹介し、各国からの参加者と議論する良い機会となりました。


講演の様子


講演に聞き入る参加者たち


ポスターセッションの様子


浅野研究統括受賞の様子